第45回 講談社 本田靖春ノンフィクション賞
第54回 大宅壮一ノンフィクション賞
第71回 日本エッセイスト・クラブ賞
日隅一雄・情報流通促進賞2023 大賞
受賞作!!!
その船は突然、深海へ消えた。
沈みようがない状況でーー。
本書は実話であり、同時にミステリーでもある。
2008年、太平洋上で碇泊中の中型漁船が突如として沈没、17名もの犠牲者を出した。
波は高かったものの、さほど荒れていたわけでもなく、
碇泊にもっとも適したパラアンカーを使っていた。
なにより、事故の寸前まで漁船員たちに危機感はなく、彼らは束の間の休息を楽しんでいた。
周辺には僚船が複数いたにもかかわらず、この船ーー第58寿和丸ーーだけが転覆し、沈んだのだった。
生存者の証言によれば、
船から投げ出された彼らは、船から流出したと思われる油まみれの海を無我夢中で泳ぎ、九死に一生を得た。
ところが、事故から3年もたって公表された調査報告書では、船から漏れ出たとされる油はごく少量とされ、
船員の杜撰な管理と当日偶然に発生した「大波」とによって船は転覆・沈没したと決めつけられたのだった。
「二度の衝撃を感じた」という生存者たちの証言も考慮されることはなく、
5000メートル以上の深海に沈んだ船の調査も早々に実現への道が閉ざされた。
こうして、真相究明を求める残された関係者の期待も空しく、事件は「未解決」のまま時が流れた。
なぜ、沈みようがない状況下で悲劇は起こったのか。
調査報告書はなぜ、生存者の声を無視した形で公表されたのか。
ふとしたことから、この忘れ去られた事件について知った、
一人のジャーナリストが、ゆっくり時間をかけて調べていくうちに、
「点」と「点」が、少しずつつながっていく。
そして、事件の全体像が少しずつ明らかになっていく。
彼女が描く「驚愕の真相」とは、はたして・・・・・・。
1 転覆
2 救助
3 不帰の17人
4 原因不明
5 事故調査
6 遺族
7 報告書
8 解けぬ謎
9 黒い海
10 潜水艦の男
11 花を奉る
終章 希望
レビュー(82件)
興味深くいっき読み
この事故を知らなかった私はとても興味深く、読みやすいのでどんどん引き込まれて一気読みしました。 最後はすこしダレてしまいましたが、また続編もあると嬉しい。 ジャーナリストはすごい行動力と熱意で関係者の重い口を開かせる能力をもって情報を得ているリアルな状況が目に浮かんだ。 あと、国のずさんな事故調査報告にはほとほと呆れた。
漁業関係者です。この事故はよく知ってます。いろいろ深堀していただきありがとう。
おそらく他のレビューにある「いまいちだった最後」というのは11章の「花を奉る」のことだと思われる。 正直、私もあの章は不要だったと思う。無意味な内容ではないが、10章まで追い続けてきた漁船沈没とは直接関係のない話でしかないからだ。 10章→終章で終わらせていれば読後の印象はかなり変わったのにな、と少し残念に思った。
とても良く調べていると思いましたが、事故に直接関係のない箇所の描写も多いので、最後はちょっと飽きました。日本の調査機関と米国のNTSBとの差を痛感させられ情けなくなりました。
真相は…
いろいろな書評で取り上げてられていたので購入しました。終わり方はちょっとどうかな思いましたが、引き込まれました。