本書は〈戦後空間〉から日本を「解き放つ」ことを主題とする。一般に「戦後レジーム」と呼ばれる戦後の政治体制は、日本社会の至る所に閉ざされた〈戦後空間〉を 作り出してきた。それは何か、そこにどういう問題があるのか。本書では、フランクフルト学派やグローバリズムの思想史的潮流の影響を捉えるとともに日本の文化や芸術の世界史的位置を確認する。田中歴史学を総合的に紹介することによって今まで見えなかったもうひとつの「戦後日本」の姿を開放する一冊。
序 〈戦後空間〉の何が問題なのか(岡島 実)
プロローグ(田中英道)
第1部 戦後レジームを問う
第一章 「近代」という問い
〈問題設定〉 「近代」とは何か
1 江藤淳の死と西洋体験
2 近代の虚構性
3 世界における日本文化の位置
第二章 一九四六年憲法体制とフランクフルト学派
〈問題設定〉 フランクフルト学派とは何か
1 あいちトリエンナーレと日本学術会議
2 一九四六年憲法体制の問題構造
3 フランクフルト学派と虚構の言説
第三章 共産主義・リベラリズム・グローバリズム
〈問題設定〉 グローバリズムとは何か
1 ルーズベルト政権とは何だったのか
2 共産主義とは何だったのか
3 フランス革命とは何だったのか
4 グローバリズムとナショナリズム
第2部 日本の文化と思想を解き放つ
第四章 公(おおやけ)と私(わたくし)
〈問題設定〉 「公」と「私」における普遍性と固有性
1 「忿怒」と「怒り」の間
2 芸術表現に見る「公」と「私」の意味
3 大仏再建と公武聖「三共立」
4 神仏統合と自然道
第五章 歴史の動因と史観
〈問題設定〉 歴史と文化・信仰・国家
1 進歩史観と唯物史観の問題
2 文化・信仰と歴史
3 国家と歴史
4 歴史の動因としての国家
第六章 日本文化の世界史的位置
〈問題設定〉 飛鳥・天平時代と日本文化
1 飛鳥・天平時代とはどのような時代だったか
2 法隆寺と聖徳太子の思想
3 天平文化の普遍性
4 「日本」という国家の世界史的位置と役割
エピローグ(田中英道)
参考文献
人名・事項索引
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