座談会「近代の超克」は、昭和17年、各界知識人による“協力会議”を標榜して開かれた。“伝説的に有名”なこの会議は、不毛な体制讃美に終わったのか、それとも日本思想の極北たり得たか? 著者は、西洋哲学の超克を志向した西田哲学本来の構えに立ち返り、高山(こうやま)・三木ら京都学派の「世界史の哲学」の役割と限界を剔抉(てっけつ)する。近代知の対自化が課題とされる今日、本書の問いかけはいよいよ重い。
1 『文学界』誌上座談会にふれて
2 高坂正顯氏の所論を読み返す
3 『世界史の哲学』と大戦の合理化
4 戦時下「日本思想」批判の一里程
5 国家総動員体制と歴史の狡智
6 三木清の「時務の論理」と溢路
7 民族主義的「自己偽瞞」の絶唱
8 絶望の余焔と浪曼主義的自照
9 京都学派と世界史的統一理念
10 哲理と現実態との媒介の蹉跌
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