1991年に独立国となり、ヨーロッパとロシアのあいだで揺れ続ける、旧ソ連の大国ウクライナ。本書は、ウクライナのナショナリズムに焦点を当て、第二次世界大戦からペレストロイカに至る軌跡と独立のプロセスを描き出し、さらには独立後に直面するディレンマを明らかにする。
はじめにーーナショナリズムの現在
第一章 ウクライナ・ナショナリズムの歴史と特質
一 ウクライナ民族運動の系譜
民族運動のタイポロジー
文化運動
政治闘争
ガリツィアとドニエプル・ウクライナ
ペレストロイカ期の特徴
二 ウクライナとロシアーー東スラヴのアイデンティティ
「帝国」の喪失
汎ロシア連邦とユーラシア主義
ウクライナとロシアの関係
ウクライナの選択
三 クリミアとオデッサーー多民族性の喪失
多民族のクリミア
クリミアにおける民族関係
ソ連解体後のクリミア問題
オデッサに見る民族の関係
第二章 ウクライナ化を求める運動ーー六〇年代からペレストロイカへ
一 シェレストとシチェルビツキーーー二人の第一書記
「同化派」と「非同化派」
シチェルビツキー
チェルノブイリ以降
歴史の見直し
二 ウクライナ語をめぐる運動ーー第三のウクライナ化
ウクライナ化の歴史
ウクライナ語をめぐる議論
党の反応
三 ユニエイト教会への道
ユニエイトの「登場」
ユニエイトの歴史
教会再建への道
第三章 独立へーーソ連からの「退出」
一 主権宣言から独立宣言へ
ペレストロイカの下のウクライナ
主権宣言
新連邦条約
独立宣言
二 ウクライナにおける分離と独立
八月クーデタのインパクト
ウクライナ国内の分離主義
国民投票と大統領選挙
独立と共同体
三 ソ連からの「退出」
第四章 独立のディレンマ
一 CISとウクライナ
CISの成立とウクライナ
ウクライナとロシアの関係
CISとウクライナ
二 独立のディレンマ⑴ーー権威主義と経済再建
反対派の消滅と権威主義体制の成立
経済問題
クチマ政権の課題
三 独立のディレンマ⑵ーー国民統合の困難性
「国家」の獲得のあと
国境の複雑さ
東西の分岐
統合の困難性ーー言語・宗教・地政学
新しい国民の可能性ーー「ユニエイト」的なるもの
四 独立のディレンマ⑶ーーウクライナのゲオポリティカ
「新東欧」の登場
「新封じ込め」
NATOの東方拡大とウクライナ
おわりにーー民族関係論への展望
ソ連の解体と民族問題
民族関係論への展望
あとがき
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