記録上にその名をあらわしてから一千年余、変わることなく我々を魅了し続ける『源氏物語』。
前代の放射を深く取り込み、後代に長い影を落とすこの物語は、日本文学史上の大いなる達成をなし、いまなお論ずべき魅力の宝庫として屹立している。
文学研究の起点に立ち返り、時代・ジャンルという既存の枠組みを越えた場に『源氏物語』を開き、新たな読解の方法論・可能性を拓く。
気鋭の研究者の視角から日本文学研究を啓発する野心的論集。
はじめに 岡田貴憲・桜井宏徳・須藤圭
1………成立・生成への視点
『源氏物語』帚木巻頭本文の解釈ー「言ひ消たれたまふ咎」の指し示すものー 岡田貴憲
夕顔巻新見ー女房という視点からー 諸井彩子
『源氏物語』と記紀萬葉ー享受はいかに論証されたのかー 池原陽斉
『源氏物語』の引歌と『古今集』-主として墨滅歌をめぐる疑義と提言ー 舟見一哉
『源氏物語』から『伊勢物語』へー「帚木」巻・指喰いの女のエピソードをめぐってー 松本裕喜
2………解釈の連環・多層化
弘徽殿大后「悪后」享受史再読ー源氏物語論としての注釈の位置ー 須藤圭
併存と許容の物語読解ー「可随所好」を端緒としてー 松本大
中世における『源氏物語』の虚構観 梅田径
二次創作から読む『源氏物語』-宣長と秋成の作中人物論ー 高松亮太
3………ことば・表現との対話
「をんなし」考ー『源氏物語』のことばとしてー 桜井宏徳
『源氏物語』「初音」巻の表現ー六条院の情景描写をめぐってー 山中悠希
顔を隠す女君 関本真乃
紫の上の乳くくめ考ー仏教報恩思想との関わりからー 宇野瑞木
あとがき 岡田貴憲・桜井宏徳・須藤圭
レビュー(0件)