ベクトル解析は、電磁気学・流体力学などを学ぶ学生に必須の課程で、しばしば工学・物理系の応用数学とみなされがちである。しかし見方をかえて、基礎的な「1次元の線形代数学」から多次元への発展、「1変数の微積分」から多変数関数の微積分への発展、の段階の解析学と考えれば、大学教養課程の結節点ともみなしうる。それはより抽象度の高い、多様体へのゆるやかな第一歩である。本書では、そのような展開性のある位置づけのもとに、森一刀斎が「ベクトル解析のココロ」を開陳する。最終章に新たに、教育的側面を明らかにした「なぜベクトル解析なのか」を加えた。
レビュー(6件)
既に入手済みの森毅先生の「線形代数」の理解を深めようと思い購入させていただきました。全体的に専門的で高度な内容ながら「1次元から多次元へ」といった論理がきちんと説明されていて、著者の森一刀斎が言われる一般的な類書の「ごまかし」がなく本質を抑えた解説が勉強になりました。
人から頼まれて注文しました。とても喜んでいました 。
ちょっと頑張れば理解できるのがいい
相対性理論を理解したくて、テンソル、ベクトルなどと参考本を広げていくうちにこの本にも行き当たりました。個人的な感想ですが、もともと数学、物理などに関係ない職業だけど趣味で数学本を読むレベルの人には良さそうな感じです。あまりに易しすぎるのも難しすぎるのも時間の無駄に感じるし、時間が残り少なくなっている中高年にはいいかも。
理学部や工学部の教科書としても使えそうな本が文庫本になったというのは信じられないことだ。こういう本が増えることを期待したい。