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一刻もはやく、兄を持ち運べるサイズにしてしまおう。 憎かった兄が死んだ。 残された元妻、息子、私(いもうと) ーー怒り、泣き、ちょっと笑った5日間。 「わたくし、宮城県警塩釜警察署刑事第一課の山下と申します。実は、お兄様のご遺体が本日午後、多賀城市内にて発見されました」--寝るしたくをしていた「私」のところにかかってきた1本の電話。それは、唯一の肉親であり、もう何年も会っていなかった兄の訃報だった。第一発見者は、兄と二人きりで暮らしていた小学生の息子・良一君。いまは児童相談所に保護されているという。いつかこんな日が来る予感はあった。金銭的にも精神的にも、迷惑ばかりかける人だった。二度目の離婚をし、体を壊し、仕事を失い、困窮した兄は、底から這いがることなく、一人で死んだのだ。急なことに呆然としている私に刑事は言った。「ご遺体を引き取りに塩釜署にお越しいただきたいのです」 兄は確かに優しいところもある人だった。 わかり合えなくても、嫌いきることはできない。 どこにでもいる、そんな肉親の人生を終う意味を問う。 遺体を引き取り、火葬し、ゴミ屋敷と化している兄のアパートを整理し、引き払う。そして、何より、良一君の今後のことがある。兄の人生を終うため、私(いもうと)、元妻(加奈子ちゃん)、そして息子(良一君)の5日間の修羅場が幕を開ける。 「えっ!」と思わず声が出た私に、 加奈子ちゃんは、「ほら、そっち! 早く!」と促した。 まだ心の準備ができていないんだって! プロローグ 二〇一九年十月三十日水曜日 DAY ONE 宮城県塩釜市塩釜警察署 DAY TWO 宮城県多賀城市 DAY THREE 宮城県仙台市 DAY FOUR 三週間後、宮城県多賀城市 DAY FIVE 東京 エピローグ 兄をめぐるダイアローグ あとがき
レビュー(104件)
映画化されると聞き、好きな俳優さんが、出演されるので、読んでみたいと、思い購入 。作家さんの経験したエッセイということでした。とても、読みやすい文章で、最近、活字離れの、私もスラスラ読めました。最後は泣きました。
一気に読んでしまいました。 シリアスな要素もあるけど、後味が良いです。 多賀城の人たちの優しさに感動。 村井さんの本、文章はどれも本当に読みやすい。
なかなか面白かったの一言に尽きます。文章も読みやすく、さすが翻訳家の方だなと納得。
今の社会状況から考えないといけない、避けられない内容です 勉強になりました
引き込まれるように一気に読みました。 何故か泣けてきました。