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本の間から見つかった、亡き妻宛ての古い葉書。 妻の知られざる過去を追い、男は灯台を巡る旅に出るーー。 地方紙で連載されていた人気作、待望の文庫化! 板橋の商店街で、父の代から続く中華そば屋を営む康平は、一緒に店を切り盛りしてきた妻を急病で失って以来、長い間休業していた。ある日、分厚い本の間から、妻宛ての古い葉書を見つける。30年前の日付が記された葉書には、地図のような線画と数行の文章が添えられていた。差出人は大学生の小坂真砂雄。記憶をたどるうちに、当時30歳だった妻が「見知らぬ人からはがきが届いた」と言っていたことを思い出す。なぜ妻はこれを大事にとっていたのか、そしてなぜ康平の蔵書に挟んでおいたのか。妻の知られざる過去を探して、康平は旅に出るーー。市井の人々の姿を通じて、人生の尊さを照らし出す傑作長編。 【著者略歴】 宮本輝(みやもと・てる) 1947年兵庫県生まれ。77年「泥の河」で太宰治賞、78年「螢川」で芥川賞を受賞。87年『優駿』で吉川英治文学賞を受賞。2004年『約束の冬』で芸術選奨文部科学大臣賞文学部門、09年『骸骨ビルの庭』で司馬遼太郎賞を受賞。著作に、「流転の海」シリーズ、『水のかたち』『田園発 港行き自転車』『草花たちの静かな誓い』など。10年秋、紫綬褒章受章、20年春、旭日小綬章受章。
レビュー(59件)
宮本輝ファンとしてはとてもおもしろく読ませて頂きました。
家族からのリクエストで購入。 直ぐに届きました、とても便利ですね。
久しぶりに宮本輝さんの作品を読みました。 10代後半~20代に読んでいたのですが、その後、離れていました。 やはり、良いです。 読みやすいですし、重苦しい気持ちにならずに 人、生きる ことについて感じることができます。 灯台巡りをしながら振り返り先に進む 良いな と思いました
さすがに宮本輝先生はストーリー作りがうまい。妻を失って以来、中華そば屋を休業している後ろ向きな主人公が、1枚の絵はがきをきっかけに岬巡りの旅に出る。房総、伊勢志摩、青森、出雲と岬を回りながら、親元を離れた子供たち、友人の隠し子と交流を深めながら、妻の秘密を突き止めていく。読み終わって爽快感しかない。人生で立ち止まることはあるけれど再生できる。作者からのメッセージだと受け止めた。
ゆったりした気分で読めます。自分も灯台巡りをしたくなりました。