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YouTubeでも話題の自称「マッドサイエンティスト」による新時代の中国分析解説本、堂々の登場! 言論統制や人権弾圧を平気で実行する中国の共産党一党独裁体制ーー日本国内の中国理解はほとんどこのレベルにとどまっている。しかし、こんなワンパターンの精度の低い見方では中国という国家の本当の恐ろしさはわからない。 2021年7月23日に100周年を迎える中国共産党は、国家と軍のうえに君臨する巨大組織である。先に党があって、後に国家あり。古今東西人類史上最大の9000万人のピラミッド型利害関係組織が「中国共産党」だ。この習近平国家主席を頂点とする中国共産党による支配を、全体主義や独裁主義と批判するのはやさしい。しかし無慈悲で冷徹な組織成長マシーンへと成長した「党」がマネージする中国は、すでに共産主義を超越した存在となりつつあることを理解している日本人は少ない。 北京大学大学院戦略管理学科で日本人初の博士号を取得した著者が、これまでの「中国論」とは一線を画す斬新な切り口で、党という存在を組織論の視点で根底から解き明かす。 【内容紹介】 序 章 傍らにある存在としてクールに見つめること 第一章 党があって、国家あり 第二章 チャイナを動かす紅い方程式 第三章 分析便利ツール「五権分立一統制」 第四章 魅惑の情報統制と官製アナーキズム 第五章 米中発新混沌の時代 チャイナが権威主義であることは否定しませんが、超大国となったチャイナ内政をより解像度高く観察して情報精度を上げると、新しいチャイナの行動原理に基づいた国際関係分析や予測ができてくると僕は考えています。 商売をされている方にとっては、不可抗力としての国際的ルールメーカーである超大国チャイナの今後の動静を多角的に見極めることは言うまでもなくビジネス上で重要でしょう。また我が国の政治や政策の意思決定者にとっても、対峙する隣国のチャイナについて「基軸となる日米同盟利益と相反する国家」や「イデオロギーや基本的価値観で対立する国家」といった伝統的なチャイナ観よりも深みのある見方によって、新しい駆け引き(ネゴシエーション)材料のひとつになってくれるとも思います。 (「はじめに」より)
レビュー(8件)
最も冷静高品質なチャイナスタイル解説本
筆者の肩ひじ張らない非常に客観的で冷静な観察と語り口が特徴でこのような中国本はこれまでに存在しなかった。隣国、かつ近年成長著しく、問題も多く、我々日本人は大なり小なりある種の感情を掻き立てられてしまう国家であるためにこのように観察すること自体が大変難しい。 本書ではまず中国では共産党という党組織が最上であり、この下に国家と軍隊という2つの下請け会社が存在しているという構図を指し示している。中国の組織解説が非常に細やかであり中央から末端組織まで分かりやすく提示される。そして徹底したリアリスト集団である中国共産党の研究計算されつくした制限された自由空間の統治方法が解説されている。グレーゾーンの扱いがとても上手であること、とにかくコスパがよいことが衝撃的で我々が不毛な?選挙・政局で消耗している間に彼らは何歩も我々の先を進んでしまうのだ。「党は国家と軍の人事権をもつ人材バンクであらゆる組織に党員が存在し、これがスライド人事で横方向に動くためにエリートたちは短期間に多くの現場で多くを学ぶことができる」「アカデミアでも企業でもそれぞれの強みをもった人材が党という統一プラットフォーム内で議論と政治技術を出し合って共有知をつくるという強みははかりしれない強靭さがあります」「選挙という正当性を付与されていないからこそメンツにこだわり続けなければならないたとえ国益を害しても」対外的宣伝工作の重要性。党(人治)がすべてをコントロールしているため法治の及ばない部分がある、ここを狭めるべく紀律治という党の掟で縛る。日本でイノベーションを起こすには規制緩和、規制だらけの中国ではグレーゾーンからイノベーションが生まれる。中国発の情報の読み解き方・党中央の解釈を読みとる。対米基本方針「戦いません、勝つまでは」チャイナスタイルを容認する国家が増えてきているという事実。アメリカよりチャイナの方が多国間協議を長期戦略で進めてきた。我々は制限された自由を持つ中国に対して悪い印象を抱くため中国人民も同様と考える。しかし中国人民のうまくやっている、中国共産党を容認している姿が印象的であった。なるほどもはや最近ではあまり見なくなった「中国崩壊論」がいつになっても現実とならない訳だ。 今後何度も読み直す必要がありそうだ。現在最も優れた中国本である。
中国に対して好き嫌いやイデオロギーではなく、組織システム論の視点として書かれた一冊。今作を読むことによって、中国政治のニュースに対して素人考えなりに「意図はどこにあるのか?」と考えるようになりました。
まずは知中
中国崩壊論とは対極にあり、中国悪玉論とは一線を画す中国理解の為の解説書。 そもそも“中国”という括りで捉える事に誤りがある、という指摘。 眼から鱗、開けてビックリ玉手箱な良書です。
ありがとうございます。 楽しみにして、みたいと思います。 よろしくお願いします。