本書は、これまでイラン伝統音楽の即興演奏を研究してきた著者が、自ら即興の実践を行い試行錯誤するなかで得た様々な知見をもとに考察を行ったものである。著者が専門としているサントゥールという打弦楽器のみならず、他の複数の楽器や声楽・ペルシア古典詩、更には即興演奏や曲作りのレッスンなど、多様な音楽教授の現場への参加。イラン音楽の即興演奏が、声・楽器・身体・旋法といった複数の要素の相互作用によって成立していることを、「声の模倣という難題と対峙する打弦楽器」「指から音楽を理解すること」「楽器ごとの身体性の違いから来る即興演奏の自由度の差」「従来のサントゥール語法と近年の語法との比較」など、多様なテーマを通して明らかにする。
はじめに
本書の構成
■第1章
「個性」はいかに研究可能(記述可能)か?
1 | はじめに
2 | 習得するラディーフによる違い
3 | 社会的・個人的な「手癖」
4 | おわりに
■第2章
歌謡における言葉のリズムと音楽のリズム
1 | はじめに
2 | ケレシュメの場合
3 | サーギーナーメ の場合
4 | チャハールパーレの場合
5 | まとめ
■第3章
打弦楽器を巡る試行錯誤
ーインドとイランのサントゥール
1 | はじめに
2 | サントゥールという立場
3 | カシミールからヒンドゥスターニー音楽へ
4 | 声の模倣という難題
5 | イランにおける異なった帰結ー器楽的性格の強化へ
■第4章
指で感じ理解すること
ー楽器間で異なる身体感覚の研究に向けて
1 | はじめに
2 | 楽器間のヒエラルキーさえ引き起こす音楽体験の差異
3 | サントゥールとセタール(およびタール)の
身体性の違い
4 | 手の構え(指の配置)から認識されるテトラコード
5 | 指から気付くという優位性
6 | おわりに
■第5章
サントゥール演奏の新しい身体性
ー 楽器盤面の地政学へ向けて
1 | はじめに
2 | 新しいバチ使いーミ・ファ間の分断を巡って
3 | 重音時のバチ配置ー合理性への追求
4 | 打弦ポイントを巡る哲学
5 | 普遍化する「弾きにくさ」
6 | 高音が左側に配置されていることの意味
ー楽器盤面の地政学に向けて
■第6章
ラディーフから何を学ぶのか?
1 | グーシェ間の関係性への気付き
2 | 4 種のテトラコード の把握
ーモードギャルディ( 旋法間の移動)の ための橋渡し
3 | グーシェ内の構造と
それに応じた旋律の展開方法についての気付き
4 | グーシェの移転
5 | 一時停止(未決)音タアリーグの把握
6 | 終わりに
あとがき
索引
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