『兵範記』は、桓武平氏の「日記の家」に生まれた平信範が、21から73歳のあいだ残した記録。摂関家の藤原忠通・基実に仕えた家司にして実務官僚の信範は、権力中枢に関わる情報を入手できる立場にあり、新興の武門平氏との関係も深かった。崇徳院・藤原頼長が挙兵に至った経緯、天皇方の戦力、戦後処理など、古記録からは、『愚管抄』『保元物語』とは異なる摂関家の内部事情が窺える。イメージを一新した貴族の姿を描く、著者渾身の遺作。
序 論
第一部 摂関家への奉仕と鳥羽院政期の政情
第一章 中宮藤原聖子と家政
第二章 美福門院得子と平忠盛
第三章 藤原師長の元服と家政機関
第二部 忠通・頼長の相克ーー仁平二年〜仁平四(久寿元)年
第一章 氏長者藤原頼長の誕生ーー忠実の忠通義絶
第二章 仁平二年の前半ーー頼長の大饗・基実の公卿昇進
第三章 仁平二年六月以降ーー内覧頼長をめぐる混乱
第四章 仁平三年の前半ーー「悪左府」頼長
第五章 仁平三年の後半ーー頼長の法成寺管理
第六章 仁平四(久寿元)年の前半ーー春日祭上卿兼長と文章生信義
第七章 仁平四(久寿元)年の後半ーー忠実・頼長派の明暗
第三部 保元の乱前夜ーー久寿二年〜久寿三(保元元)年
第一章 久寿二年前半ーー孤立する頼長
第二章 近衛天皇の死去
第三章 頼長の失脚
第四章 久寿三(保元元)年前半ーー鳥羽院御万歳の沙汰
第五章 鳥羽院の死去
第六章 後白河天皇方の挑発
第四部 保元の乱の結末
第一章 崇徳院・頼長方の軍勢
第二章 後白河天皇方の勝利
第三章 乱後の処理
第四章 忠実領の処分と氏長者
第五章 敗者の運命
第六章 保元の乱後の摂関家
終章 内乱と摂関家
補 編
参考文献
解説 元木泰雄先生の略伝と学問的相貌ーー坂口太郎
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