東電原発事故 10年で明らかになったこと(966;966)
東日本大震災、そして津波によって全電源を喪失して起こった福島第一原子力発電所事故発生から10年。事故はなぜ起こったのか、津波と電源喪失は本当に防げなかったのか、そして、民事裁判・刑事裁判はいまどのように進んでいるのか。事故の前、事故のあとではなにが隠蔽されてきたのか。事故の責任追及、賠償の進捗状況は……。1万ページ以上におよぶ膨大な事故調査書や裁判記録をもとに、10年間事故の真相を追ってきた科学ジャーナリストが、被害と裁判の現状を活写。
レビュー(11件)
理系、元新聞記者・・・緻密な取材と考察
この本に書いてあることは、ほとんどの国民には知らされていないと思います。福島第一の津波対策の脆弱性はずっと指摘されていて対策も要求されていた。それに抵抗し、無視し、無策を続けた勢力がいたということ。文章や構成がシンプルなのは理系出身の著者ならではでしょうか。
すべての日本人が読むべき本
福島第1原発事故発生後10年が過ぎた今、復興や賠償問題は、どうなっているのか、私たち日本人一人ひとりが無関心ではいられない問題である。この本は、新書版でありながら、題名にもあるように、国会の事故調査委はじめ、裁判で明らかになったことを詳述している。読後になんとも言えない苛立ちを覚えた。それは、あれほど原発の安全をうたいながら、事故を想定外として責任逃れをしている東電の幹部連、阪神淡路震災以後、地震の危険性を予見していながらその準備を見逃してきた監督官庁通産省の不作為だ。この原発事故は、明らかに人災だと思う。最近のコロナもそうだが、最悪を想定できない日本人の悲しい性かもしれない。自助、共助が先で、公助は一番後になる日本という国の現状なのだろう。