医学のあゆみ 脳科学研究が推進する うつ病の病態・診断・治療の発展 2025年 292巻13号 3月第5土曜特集[雑誌]
・うつ病は、生物学的要因、心理社会的要因、そして個々の人格や発達の特性が相互作用して発症する複雑な疾患である。働き盛りでの発症が多く、2030年代には社会的損失の最大要因になると推測されている。
・診断は精神科医の主観に頼り、治療は十分な効果を示さない抗うつ薬に依存する現状。いまだ解明されない病態メカニズムという大きな壁が立ちはだかるが、客観的な診断法と確実な治療法の確立は切実な課題である。
・そうしたなかでも、脳科学研究の着実な進歩が新たな光明を投げかけている。『医学のあゆみ』第5土曜特集として14年ぶりにうつ病を大特集。病態・診断・治療の3つの側面から、第一線の研究者らが最先端の知見を余すところなく解説する。
■脳科学研究が推進する うつ病の病態・診断・治療の発展
・はじめに
●病態
・うつ病のゲノム研究とその臨床応用
〔key word〕ゲノムワイド関連解析(GWAS)、ポリジェニックリスクスコア(PRS)、薬理遺伝学、個別化医療
・うつ病の内分泌的研究ーーコルチゾールを中心に
〔key word〕うつ病、グルココルチコイド、視床下部ー下垂体ー副腎系(HPA系)、海馬
・古くて新しいうつ病の病態仮説:モノアミン仮説
〔key word〕うつ病のモノアミン仮説、ノルアドレナリン、セロトニン、将来報酬予測機能
・うつ病の神経可塑性仮説ーー海馬の組織学的変化を中心に
〔key word〕うつ病、神経可塑性、海馬、脳由来神経栄養因子(BDNF)、TrkB受容体
・うつ病の神経細胞新生仮説
〔key word〕成体海馬神経細胞新生、海馬歯状回、うつ病、グルココルチコイド、神経幹細胞
・うつ病の炎症仮説
〔key word〕うつ病、ストレス、炎症、サイトカイン、腸内細菌
・うつ病の病態におけるエピジェネティクス
〔key word〕うつ病、動物モデル、遺伝子環境相互作用、エピジェネティクス
・うつ病とアストロサイト
〔key word〕アストロサイト、グリオトランスミッター、ATP、Kir4.1、グリンパティックシステム、AQP4
・脳の免疫細胞ミクログリアーーうつ病の鍵を握る隠れた存在?
〔key word〕シナプス刈り込み、神経新生、神経炎症仮説
・逆境的養育体験のうつ病に与える影響とそのメカニズム
〔key word〕逆境的養育体験(ACEs)、気分障害(うつ病、双極性障害)、エピジェネティック修飾、ストレス応答系(HPA軸)、FKBP5
・慢性ストレスによる行動変容の個体差を創発する分子・神経回路メカニズム
〔key word〕ストレス、うつ病、レジリエンス、神経回路、エピジェネティクス
・高齢者のうつ病ーー老化・認知症との関連性
〔key word〕うつ病、高齢者、老化、認知症
●診断
・うつ病における構造MRI研究
〔key word〕うつ病、構造MRI、T1強調画像、拡散テンソル画像(DTI)
・うつ病治療のバイオマーカーとしてのガンマオシレーション
〔key word〕ガンマオシレーション、うつ病治療、ケタミン、経頭蓋磁気刺激法(TMS)
・fNIRSとうつ病
〔key word〕fNIRS(機能的近赤外分光法)、脳血流、バイオマーカー、保険収載、rTMS(反復経頭蓋磁気刺激法)
・うつ病の血液バイオマーカー:mRNA
〔key word〕血液バイオマーカー、mRNA、5HTT mRNA
・うつ病におけるmicroRNAの役割、バイオマーカーの可能性
〔key word〕うつ病、microRNA(miRNA)、エピジェネティクス
・DNAメチル化に着目したうつ病の治療反応バイオマーカー研究
〔key word〕うつ病、バイオマーカー、治療反応、DNAメチル化
・うつ病の血液バイオマーカー:テロメア
〔key word〕テロメア、細胞老化、自殺、重症度
・うつ病の病態における脳由来神経栄養因子(BDNF)とインターロイキン6(IL-6)
〔key word〕うつ病、脳由来神経栄養因子(BDNF)、インターロイキン6(IL-6)、バイオマーカー
・うつ病の血液バイオマーカーを探索するーーメタボロミクス
〔key word〕うつ病、血液メタボロミクス、血液バイオマーカー、自殺、キヌレニン
・うつ病の音声バイオマーカー
〔key word〕音声バイオマーカー、デジタルバイオマーカー、うつ病
●治療
・抗うつ薬の歴史と最近の進歩
〔key word〕三環系抗うつ薬(TCA)、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、ケタミン、神経ステロイド、サイケデリックス(精神展開薬)
・うつ病のプレシジョンメディスンの実現に向けて
〔key word〕抗うつ薬、薬理遺伝、ゲノムワイド関連解析(GWAS)、ポリジェニックリスクスコア(PRS)、miRNA、治療反応性の予測
・うつ病治療における補完代替療法の可能性
〔key word〕補完代替療法(CAM)、セントジョーンズワート、オメガ3脂肪酸、鍼灸
・うつ病治療における電気痙攣療法(ECT):歴史・作用機序・有効性と安全性
〔key word〕大うつ病(MDD)、治療抵抗性うつ病(TRD)、脳刺激療法、電気痙攣療法(ECT)、継続ECT(C-ECT)、維持ECT(M-ECT)、機能的コネクティビティ
・高出力ECT機器をどのように使うか
〔key word〕電気痙攣療法(ECT)、うつ病、高出力
・うつ病におけるrTMS療法
〔key word〕うつ病、rTMS(反復経頭蓋磁気刺激)療法、治療効果、安全性、位置づけ
・経頭蓋直流電気刺激(tDCS)によるうつ病治療の現状と展望
〔key word〕経頭蓋直流電気刺激(tDCS)、うつ病、不安障害、左背外側前頭前野(DLPFC)、認知機能改善
・脳科学研究が指し示すうつ病の認知行動療法の未来
〔key word〕認知行動療法(CBT)、うつ病、マインドフルネス、感情認知、脳機能画像
・うつ病治療における栄養学的配慮
〔key word〕うつ病、肥満、ミネラル、ビタミン、栄養食事指導
・睡眠障害に着目したうつ病治療
〔key word〕うつ病、不眠、過眠、認知行動療法(CBT-I)、残遺性不眠
本雑誌「医学のあゆみ」は、最新の医学情報を基礎・臨床の両面から幅広い視点で紹介する医学総合雑誌のパイオニア。わが国最大の情報量を誇る国内唯一の週刊医学専門学術誌、第一線の臨床医・研究者による企画・執筆により、常に時代を先取りした話題をいち早く提供し、他の医学ジャーナルの一次情報源ともなっている。
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