クラインによって確立されビオンによって革新的なステップアップがなし遂げられた対象関係論。著者は精神分析的対象関係論の全貌をわかりやすく知りたいというニーズに応えるため,その黎明,確立,成熟,行き詰まり,そしてあらたな進展という歴史を見通せるように提示するとともに,1950年代の成長期から1990年代の成熟期に至る対象関係論の豊かな成果も描き出す。上巻では,重要概念の解説に続いてその創始にかかわったフロイトとアブラハムの業績が紹介され,対象関係論の本体であるメラニー・クラインを人生史も含めて詳しく解説,さらに対象関係論に豊かさと発展をもたらしたビオンの人生と前期の業績が紹介される。
はじめに
付記──わが国と世界の対象関係論史の極めて簡単すぎる紹介
第一部 イントロダクション
第1章 精神分析とはどんなものなのか
1.「こころ」とは──「こころ」は「私」に近いもの/2.無意識とは/3.対象とは
第2章 フロイトとアブラハムの対象,対象関係
1.フロイトと対象・対象関係/2.アブラハムと対象・対象関係/まとめ
第二部 クラインの対象関係論1
第3章 メラニー・クラインその人──人がらと人生史
1.イントロダクション/2.メラニー・クラインという精神分析家/3.クラインの人生史
第4章 メラニー・クラインのおもな業績
1.クラインに学んだ人たち/2.クラインの精神分析での貢献/まとめ
第三部 クラインの対象関係論2
第5章 こころの発達と機能的形態としての「ポジション」論
1.乳幼児の心的発達での「ポジション」論の提示と「スキゾイド機制」の発見/2.「こころの形態と発達」としてのポジション論/3.妄想ー分裂ポジション/4.抑うつポジション
第6章 精神分析技法の革新
1.分析家のあり方と技法/2.技 法/まとめ
第四部 ビオンの精神分析・前期
第7章 ビオンその人──人がらと人生史
1.イントロダクション/2.ビオンという人/3.人生史/4.臨床活動史
第8章 ビオン精神分析・前期 :クライン精神分析からの学びと拡張──Early Bion 1950s
1.統合失調症の精神分析的な理解/2.母親の「もの想いreverie」──クラインの重要な補遺/3.思考と「考えること」の理論──クラインからの旅立ちの第一歩/まとめ
索引
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