政治哲学者チャールズ・テイラーは神学者になったのか? 主著『世俗の時代』を縦横に読み解き、テイラーの宗教論を明らかにする。
カトリックにして多元主義の政治思想家チャールズ・テイラーは、「世俗の時代」を生きる信仰について何を語ったのか。本書は、主著『世俗の時代』の読解を軸に、広範な主題群ーー認識論、政治哲学、言語論ーーにまたがるテイラーの思想を縦横に結びつけ、近年の宗教研究におけるその重要な位置を指し示す。
はじめに - チャールズ・テイラーと宗教
1.本書の目的と主題ーーチャールズ・テイラーと宗教の主題
2.本書の位置づけ
3.本書の構成
第1部 宗教
第一章 世俗化を語り直すーー概念と歴史
1.減算の物語を超えて
2.改革主導の物語ーー排他的ヒューマニズムの成立
3.ロマン主義と今日の宗教ーーノヴァ、その後
4.世俗化論の臨界
第二章 今日の信仰の条件ーー多元主義のポリティクス
1.内在的枠組とは何かーー閉じた世界構造の脱構築
2.切断に抗してーー二つのジレンマ
3.会話の擁護ーー政治的な多元主義の構想
4.護教論とは何か
第三章 受肉と交わりーー「回心」のゆくえ
1.近代における回心の諸相
2.受肉と交わり(1)--コード・フェティシズムの克服
3.受肉と交わり(2)--歴史と永遠
4.受肉と交わり(3)--より繊細な言語
5.「宗教的な過去の未来」--何も失われない歴史
6.内在的枠組を超えること
第2部 認識、政治、言語
第四章 認識論と宗教史ーー多元的で頑強な実在論
1.接触説ーー身体化された理解へ
2.頑強な実在論
3.脱魔術化と認識論の「脱構築」
4.多元的実在論における「身体」の位置
5.身体の復活
第五章 世俗主義の再定義ーー普遍性と翻訳をめぐる対話
1.世俗主義の再定義ーーテイラーの多元主義の宗教的源泉
2.「重なり合う合意」をめぐってーーハーバーマスとの対話
3.越境としての翻訳ーーバトラーとの対話
4.公共的で宗教的な語り
第六章 象りと共鳴ーー言語の神秘について
1.言語の構成的な力
2.象りーー身体の座
3.道徳の曖昧な源泉
4.共鳴の詩学ーーより繊細な言語を求めて
5.翻訳不可能性の先で
第3部 宗教学と世俗性
第七章 宗教学の倫理ーーアイロニーを超えて
1.歴史主義の作法ーー「肯定的系譜学」
2.解釈学的方法の基準ーー最善説明の原理
3.意味の実在論
4.もっと真剣な会話を
5.学の世俗性と宗教の学
第八章 「ポスト世俗」の諸相
1.多義的な言葉(1)--経験的使用の限界
2.多義的な言葉(2)--「世俗」の捉えがたさ
3.『世俗の時代』の「ポスト世俗性」
4.「ポスト世俗」の学問?
5.問いの転換
おわりに
あとがき
文献目録
索引
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