デビュー以来、住野よるが生み出した六篇について
「関係(性)」「他者(性)」「コミュニケーション」などを鍵語に
小説世界の外にあるものは一切排除し、
文学テクストそのもののみを精読する。
文学理論に精通した一人の学者が、
繰り返し読んでみて、思った、
住野よるの小説は、予想以上に手強い。
【目次】
はじめに
第1章 『君の膵臓をたべたい』--僕とは正反対の彼女
物語の始まり
常に違い続ける桜良と春樹
人と関わりあうことの意味
細やかながらも、大いなる近接
不条理な死ーーもう一つの「他者性」
君の膵臓をたべたい
第2章 『また、同じ夢を見ていた』--皆違う。でも、皆同じ。
奈ノ花と三人の大人たちと一匹の猫
夢の世界へ
夢見る少女と夢見られる少女
南さんとアバズレさんとおばあちゃん
奈ノ花と三人の女性たち
彼女たちが伝えようとしたこと
皆違う。でも、皆同じ。
第3章 『よるのばけもの』--不思議は不思議のままで、不思議
いじめの源流ーー仲間意識
「昼」の領分ーー「俺」と矢野の世界
「夜」の領分ーー「僕」と矢野さんの世界
「他者」との優しい出会い
異質なものの方へ
不思議は不思議のままで、不思議
第4章 『か「」く「」し「」ご「」と「』--記号は見えるのに、……
記号を読むことの不可能性
京くん(大塚)
ミッキー(三木)
パラ(黒田)
ヅカ(高崎)
エル(宮里)
記号は見えるのに、……
第5章 『青くて痛くて脆い』--そして、自分とは、違う君のこと
出会い
反目と敵対
最良の友、董介
理想と現実の狭間で
凄絶な罵り合い
川原さんという存在
他者への配慮
語り手の企み、そして再会
第6章 『麦本三歩の好きなもの』--そうやって生きてるんだろうね、私達は
モノローグ的世界の住人
優しい先輩
大学時代の男友達
怖い先輩
麗しい友人
おかしな先輩
これからも好きなものの話をしていたい
おわりに
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