【POD】核燃料サイクル・バックエンドの科学 -その研究教育の在り方ー
本書より開催趣旨原子力への社会的理解がいっそう進み、増大するグローバル・エネルギー需要と深刻化する地球温暖化問題の解決に、その利用が長期的に貢献していくことが期待されています。そのような社会的理解の促進には、核燃料サイクル・バックエンド分野の課題が横たわっております。核燃料サイクル・バックエンド分野に特有な元素のひとつにTc があります。Tc は、その名の通り、人工的に作られた最初の元素であり、イタリアの物理学者エミリオ・セグレが、アーネスト・ローレンスに依頼して、カリフォルニア・バークレーのサイクロトロンで原子番号42 のMo に重陽子を照射して得た試料から発見されたものと伝えられています。今からちょうど80 年前の1936 年のことです。半減期が約20 万年のTc-99 は、高レベル廃棄物処分の長期的安全特性評価の観点から重要な核種のひとつである一方、半減期が約6 時間のTc-99m は、核医学上欠かせないトレーサのひとつとして活用されております。Tc ばかりでなくPu 発見の地でもあるバークレーのカリフォルニア大学と東京大学は、核燃料サイクル・バックエンド、とくに高レベル廃棄物処分の科学分野で長い繋がりがあります。これは、高レベル廃棄物処分の科学こそが将来の原子力技術にとって鍵となることを予見していた、トーマス・ピグフォード先生と清瀬量平先生の親密な関係に負うところが少なくありません。福島第一発電所事故を踏まえつつ、原子力の国際的利用拡大が今後の世界のエネルギー問題の解決に真に役立つかどうかが問われている今日、Tc 発見80周年を機に、今後の核燃料サイクル・バックエンドの方向性、とくに若手研究者の育成・教育の在り方について、あらためて議論することはまことに時宜を得たものと考え、本シンポジウムを企画しました。多くの方々のご参加を期待しています。
レビュー(0件)