電気鉄道では,運転用電力や車内の空調・照明などのサービス電源は地上から供給されます。一般的に線路上空には電車線が架設され,また車両屋根上には集電装置(パンタグラフ)が装備され,これが電車線最下部のトロリ線に接触しゅう動することで電力の伝達が行われます。これを「集電」と言います。近年,電気鉄道の高速化が進展していますが,集電系においては,高速走行時においても電車線と集電装置の接触状態を良好に保つことが重要な技術的課題の一つです。
集電技術にはさまざまな工学分野が含まれますが,本書では,集電系の力学に関する課題を中心にこれまでに発表された理論などを整理・体系化して,基本的で一般性のある理論を中心に解説します。また,集電技術の入門書として読めるように,構造や役割などの基礎的なことがらについても記述しています。本書では,読者がその本質を正しく理解して,あるいはその限界を理解してさらに発展させてくれることを期待して,基本的な数式とその導出過程や根拠を載せることとしました。ここに記載した数式を踏み台にして新たな領域を開拓できるように,言わば,集電系の公式集とその解説書のような形で利用できるように構成しています。本書が,鉄道会社や製造・工事・保全会社等の研究者・技術者をはじめ,大学の研究者の方々の参考となれば幸いです。
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