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名著『看護のための精神医学』のなかで、著者の中井久夫氏は次のように書きました。 「本書では児童青年期という重要な時期の患者を独立にとりあげることはしていない。それは、良き著者を得て別の一冊が生まれるのを待っていただきたい」 --中井氏に“指名”された著者による待望の書が、ようやく刊行される運びとなりました。 発達障害、知的障害、ADH等々、診断名を解説する本はたくさんあります。しかし「発達のおくれとは一体何なのか?」そして「この子のために何ができるのか?」を、読めば分かるように書いてある本は、意外に少なかったのです。 本書は、熟達の児童精神科医による画期的基本書です。 ……… 【序文より】 この本では、子どもの精神障害を扱う。 とはいっても、「児童精神医学」の網羅的な教科書や啓蒙的な解説書をめざす本ではない。日々の暮らしのなかで子どもたちと直接かかわる人たちーー教員、保育士、看護師、心理士などをはじめ、さまざまな子どもにかかわる職域にある人びと、そしてもちろん親たちーーにとって、子どものこころの病気や失調、障害を理解したりケアしたりするために役だつことをめざす本である。 子どもの診療にあずかる医師にも役にたてばと願っている。 (中略) 人生とは一人ひとりに個別的であり、しかも一回かぎりのものである。子育てとは、そうしたとりかえのきかぬ人生でのかかわりである。こうすればかならずOKという模範解答はない。太郎くんでこうだったら次郎くんでもこう、ともかぎらない。 この本では、できるだけ具体的・実践的に考えていくけれども、ハウツー的な「マニュアル」やマスターキーのような「公式」を示すものではない。それよりも、子どもというもの、子どもの精神障害というものへの「基本的な考え方」や「基本的なかかわりの姿勢」を、一回かぎりの人生を歩みはじめている子どもたちとのかかわりに生かせるかたちで伝えられたらと願う。 「基本」とは要点やさわりではない。基本的に考えるとは、基(もと)や本(もと)から考えること、土台から考えを積むことである。実践に役にたつ土台を提供するのがこの本の大きな目的で、しっかりした土台さえあれば、臨機応変や応用が可能。 マニュアルやハウツーは、そこに書かれたことしかできず、臨機応変や応用が効かない。急ぐ読者にはもどかしいかもしれないけれども、ていねいに土台から積んでいきたい。
レビュー(23件)
教科書的存在……!
滝◯さんの「こころ3部作」も傑作ですが、本書も「噛み砕いて」書かれており職場で回し読みしています。色々と「あ 〜そうだったのか?」と云う……!感想が聞かれて教科書的存在となっています。「人間」は、マニュアル通り゙いかない‼️
わかりやすい説明に思わず納得
わかりやすい説明がデータとともに表示されていてよかったです。新しい地検もあり、おすすめです
前半は、発達心理学の基本的なポイントが分かりやすくまとめられて、体系的にも捉え直せました。 後半、発達障害についても、分かりやすい言葉で書かれています。 子どもの教育に携わる人に、ほどよい専門書だと思いました。
同業者の人におすすめされて買いました。特に発達障害の内容が充実していて、患者が訴える症状を具体的に紹介されているので、初心者でもイメージしやすく読み進めることができました。
発達障害の疑いがある孫のことを理解するために購入して読んでいます。 少し難しい内容もありますが、一般の主婦でも読み進められる本です。 発達障害に対する視点が変わる様な、良い内容のものだと思います。 学校の先生にも読んでいただきたいと思います。