児童精神科医としての著者の原点は,精神科で最も重症な患者たちが,ただひたすら赤ちゃんの頃の体験について語るのを目の当たりにしたことにある。「ずっと昔の体験が,長い年月を経ても,たった今の苦しみとして表現される」こと,「過去が過去になっておらず,その限りにおいて現在も未来もないまま」であること。そこから,「精神科の治療は幼い年齢のうちに始めなければ実際上意味がない」との信条が生まれた。本書で著者は,予防医学としての乳幼児精神医学という視点から自らの症例を振り返っている。他にフロイトの「ハンス症例」に関する考察,コロナ下で行われた「児童精神科鼎談」を収録。
序文
イントロダクション
「オッパイ」をめぐる随想
ある症例の初回面接の記録
第1部 児童精神科症例集
初診時2歳1カ月の女児
初診時3歳2カ月の女児
初診時7歳2カ月の男児
初診時8歳6カ月(小2)の女児
初診時8歳11カ月(小2)の女児
初診時11歳(小5)の女児
第2部 ある症例の4年8カ月間の記録
初診時9歳3カ月の男児
第3部 フロイト「ハンス症例」をめぐって
「ハンス症例」についての注釈
「ハンス症例(1909)」への更なるコメント
第4部 児童精神科鼎談
鼎談「乳幼児と人類の未来」
あとがき
レビュー(0件)