21世紀に入って,宇宙旅行,仕事,生活は国際宇宙ステーションを中心に現実のものとなり,さらに月基地から火星移住と人類はまさにその活動領域を広げようとしている。しかしながら,微小重力による健康影響,例えば,骨密度の減少や筋力の低下などは今現在でも問題になっている。また,長期間の宇宙滞在での宇宙放射線による被ばく線量の増大も心配の種になってきている。宇宙環境が生命に及ぼす影響を十分に理解し,それらに対する対策を提供することはますます重要である。また21世紀が本当の意味で人類が宇宙に進出する世紀となるには,私たちが未来に向けて宇宙をどのように活用し利用していったらよいのかを考え,提案し,実現していくことである。そこで本書では,まず地球の誕生に遡り,生物の進化をもたらしながら現在の地球環境に至った諸要因を考察することから始め,地球環境をより良く理解して,生命にとっての宇宙の特殊性の本質に迫り,さらには宇宙における生命の起源,進化,分布,そして未来についてまで考え,我々人類が未来に向けて宇宙をどのように活用し利用していったらよいのか,これまでの宇宙開発や研究を振り返りながら人類が宇宙に進出する意味について考える一助としたい。
第1章 私たちを取り巻く宇宙
1.1 宇宙の成り立ち
1.2 宇宙とはどんな環境なのか? -地球近傍の国際宇宙ステーションー
1.3 宇宙船内での生活に伴う健康影響
コラム 地球における生命の誕生と進化
第2章 人類の宇宙への挑戦
2.1 人が宇宙へ飛び立つ
2.2 地球での宇宙実験?
第3章 微小重力が要因と考えられる生物影響
3.1 微小重力が健康に及ぼす影響
3.2 生物影響の解明に向けて -これまでの宇宙実験の紹介ー
3.3 模擬微小重力などによる地上での実験
コラム 微小重力の生物影響を調べた宇宙実験の流れ
第4章 宇宙放射線が要因と考えられる生物影響
4.1 宇宙放射線が健康に及ぼす影響
4.2 宇宙実験の歩み
4.3 生物影響の高感度検出“LOH 宇宙実験”
コラム JAXAが推進する最近の“宇宙放射線の生物影響を調べる実験”
第5章 JAXA による宇宙開発と宇宙環境の利用
5.1 ISS“きぼう”の装置 -生命科学分野の宇宙実験のためにー
5.2 開発が期待される装置(システム)
5.3 これからの宇宙実験
5.4 宇宙からの地球観測(地球環境を考える)
第6章 宇宙への夢
6.1 宇宙の有効利用にあたって
6.2 人類の活動領域を宇宙に向けて拡大
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