純友は海賊の首領?悪逆非道の乱暴者・反体制の英雄?東シナ海へ雄飛する風雲児?本書は、このような軽薄な純友像を提供するものではありません。著者が描こうとする純友は、十世紀前半の政治的世界のなかで、自己の功績の正当な評価を要求して立ち上がり、志し半ばで倒れた、登場したばかりの一人の「武士」の痛ましい姿です。わずか八〇〇字に満たない『純友追討記』を縦糸に、豊富な政府側記録を横糸に、「史料を逆なでに読む」ことを通して、一〇〇〇年以上にわたって着せられてきた海賊の首領の濡れ衣を晴らし、純友の実像、その情念と思考と行動に迫ります。純友の思いに寄り添って、鎮魂の旅に出かけましょう。
レビュー(0件)