原価計算の導入と発展
: 山本浩二/岡田幸彦/小沢浩/片岡洋人/窪田祐一/中村博之
日本における原価計算の導入と発展について、重要な役割を果たした過去の文献を探索して研究することを行った。これまでの文献研究とは異なった視点から研究を行うことを目指した。すなわち、著者ひとりひとりが管理会計分野での研究者であることを踏まえて、日本の会計制度の視点からの原価計算制度の導入と発展を取り上げるのではなく、管理会計機能の面から原価計算を捉えることを基本とした。さらに、文献史としてこれまでの日本における原価計算に関する文献を跡づけるだけではなく、原価計算の導入と発展のプロセスにおける研究者と実務化の果たした役割について明らかにして、その意義を再認識することを重視した。
そのため、取り上げる文献についても、『會計』『産業経理』『企業会計』等の主要な雑誌に掲載された論文や座談会・討論会等の記事、ならびに主要著書を対象にして文献レビューを行った。また、必要に応じて企業の社史や各種団体の歴史資料など、関連するその他の資料を参照することによって、日本における原価計算の導入と発展の実務の状況についても、そのプロセスを今日的な視点で振り返ることを試みた。
日本の原価計算や管理会計は、欧米の研究成果や実務を導入することによって発展したものが多い。製品の製造原価の計算は初期においては特にドイツの影響が大きいと思われるが、原価計算のもk敵は、製品の製造原価の計算だけに留まらず、その後の時代の要請に応じて変化してきている。本書では、実務での経営管理上の要請を意識した研究、および企業の自主的な判断のもとで行われた原価計算の導入と発展プロセスを重視することにした。
研究に際して、原価計算の導入と発展のプロセスについて文献レビューを通じて捉える基本的な分析フレームワークを設定した。影響や制約を与えたと考えられる要因を想定し、導入と発展のプロセスの論理的な概念モデルを提示して、それにもとづいて、文献を探索し、文献レビューを行い、重要と思われる文献の論点を要約した。それに加えて、文献だけからは把握できない当時の状況について、知見を持つ研究者や実務家のヒアリングも必要に応じて交えて、全員で情報を共有して研究会を重ねて議論を行い整理した。
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