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ひとは他者とのインターディペンデンス(相互依存)でなりたっている。「わたし」の生も死も、在ることの理由も、そのつながりのなかにある。核家族化で社会に包摂される「家族」、コミュニケーションの非在と「わたしたち」の居場所。確かなことは何もわからない、価値の遠近法が崩れた現代社会のなかで、日常の隙間に生じる違和感を育て、答えの見えない「問い」と向き合いつづける。 1 問い 人生の「課題」 納得 〈わたし〉にできること、できないこと あえて遠い居ずまいで プライドということ 身を養うということ だれもじっとしているわけではない 「忘れ」の不思議 死の経験 2 行ない 「何やってんのやら」──裏版・リーダー考 「遺憾」だけはいかん! 「自由」のはきちがえ プロにまかせる? 「監査」という仕事 デザインの思想 ブランド考 カタチから入る ことばの故郷 要約 英語はグローバル? 野次馬と職業人 「とことん」に感染する若者たち お笑いタレントの「罪」 3 間合い 受け身でいるということ 届く言葉、届かない言葉 語りの力 言葉の幸不幸 「くやしかあ」 聴きにくい言葉 あえて聴かないこと リスニング インタビューの練習 イメージと妄想 対話ワークショップ たしかな言論はどこに? 4 違い ひとを理解するということ ひとを選ぶということ 待たれる身 隣のひげについ触れる距離 あの人が突然いなくなった 恋はせつない、やるせない? 脇役 5 養い 獣医さんという存在 むかしの歯医者さん、いまの歯科医 「おいしい?」ではなく「おいしいね」 偶然を使う 「患者様」 「専門性」の罠 悲しい眼 水筒 うなぎ 6 囲い 転移──「いじめ」の論じ方をめぐって 密室化が「いじめ」を生む 学校的なもの 逆立ちの「体験学習」 いきなり本番 「無理」ということ 学びと挫け 「バイバイ」 おごり、おごられて 内向きな光景 7 佇まい 「不通」の社会 柔らかなスローガン 「顔」が変わった? 社会に隙間のあった時代 意味はなくとも 高貴なまでのしどけなさ ざわめきのなかの気品 タクシー三都物語 8 迷い 夢占い ひとは悩んで大きくなる? 減らすのはむずかしい スローライフにお忙しい? 足らざるに足るを見る 健康についてのヘンな話 身体の「正しさ」について 跨がれる時間 ラスト・ダダ 夕暮れはまだ遠い 1 いまだ思い知ることなく 2 弱気なのか意地なのか 3 洗い場のスポンジのように 4 成熟からはほど遠く 初出一覧 あとがき 文庫版あとがき
レビュー(17件)
これは単行本『噛みきれない想い』の文庫版です。題名は違うが同じ本なので注意。店頭で見て買うわけではないので、改題した本である旨の表記がほしかった。内容はおなじみの鷲田先生らしい感じ。平易な短文なのでおすすめします。
この著者は初めて知りましたが、タイトルに魅かれて読んでみました。いろんな新聞等に掲載されたエッセイをテーマ毎に編集されたものです。以下、印象に残った一文です。「理解するとは、合意とか合一といった実質をともなうものではなく、分からないままに身をさらしあうプロセスではないかと思えてくる。」
哲学
まだ読み切っていませんが、教えの多い哲学的な内容です。皆さんに読んでいただきたい。