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桃地政念(ももち・まさむね)は、海上保安官の中でも調理・経理・庶務などを担当する縁の下の力持ち部門「主計」の専門官。海上保安官といえど、海猿でもヒーローでもなく、小柄でメタボが気になる独身彼女ナシの中年だ。 霞が関勤務の彼がある日、学生時代のマドンナ・高浜彩子から呼び出された。彩子は女性ヘリ操縦士の草分け的存在で、桃地とはある因縁を持つ。 ドキドキしながら向かった待ち合わせ先で告げられたのは「肝臓がんで余命一年」。京都府舞鶴市の病院に入院するという。シングルマザーの彩子は、息子の悠希が春から舞鶴の海上保安学校に入る予定で、そのそばで過ごすためのようだった。 彼女のために現地への異動を企てた桃地は同校の教官として赴任することに。船舶運航システム課程主計コース3組の担任となったが、腐れ縁の校長・比内から、ある事情がクラスに重い影を落としていることを聞かされ……。 命と向き合う機会の多い、海上保安官という仕事。明るく人間味あふれる桃地の、学生たち、そして愛する人とのかかわりの日々に、感涙間違いなし! 装画=西川真以子 推薦コメントが届きました! === 海上保安学校での生活を巧みに描きつつ、生きることの意味を考えさせられる秀逸な作品。 寮生活や訓練、命の現場となる乗船実習。相手を思い自分を見つめ、過去と未来、そして公私の狭間で試練を乗り越えて成長し決断していく過程がリアルに描かれている。 自分の進むべき道を探している人に是非読んでもらいたい。 海上保安学校 前校長/日本水難救済会常務理事 江口圭三さん === 目次 第一章 余命宣告 第二章 スノーマン 第三章 国境 第四章 死んだ者たちへ 第五章 溺れる猿 第六章 夜明け前 第七章 手紙
レビュー(62件)
感動、感動、感動です。理想かもしれないけどこういう教育環境は必要。
吉川氏の本は全て読んでいます。映像化されたら誰が良いかなと想像しながら読みました。桃ちゃんの男気に感動しました。ぜひ読んで欲しい本です。
物語の舞台は海上保安学校。日本各地から集まった、海上保安官を目指す者たちの学校。全寮制で、日常の寮生活の流れや、訓練の様子、厳しい実習を乗り越えていく訓練生のドキュメンタリーです。
53教場の面白さそのままに、さらに、命の尊さをうたい、ヒーロー(お腹の出たおもろいおっちゃんだが)を愛おしく思える、という、二重三重に楽しい小説でした。