第一線の研究者12人が従来の帰化植物観を一新する最新の知見を語る。
帰化植物は駆除の対象として論じられることが多いが,考えてみると不思議ではないか。なぜ帰化植物は,私たち人間,とりわけ都市に生活する人々のまわりに,こんなにもはびこっているのだろうか? そもそも帰化植物は,どのような習性をもつがゆえに,帰化植物となりえたのだろうか?
本書はこのような問題意識から企画された。
日本列島への侵入後の帰化植物の歴史はたかだか200年にすぎない。しかし,帰化植物として成功した植物には,成功のカギとなるような性質を原産地において発達させた前史があるに違いない。前史の解明の試みは端緒にすぎないが,注意深い読者は,本書の随所で前史が語られているのに気づくことだろう。
第1部では帰化植物の生活史戦略と繁殖様式から,帰化植物の特殊性について総論的に検討する。第2部では,帰化種と近縁の在来種を比較することにより,帰化種の特異な性質について考察する。第3部では,さまざまなタイプの帰化植物の生態から,帰化植物の生活史戦略の特徴を浮き彫りにする。そして第4部では,在来種と雑種を形成したり,新しいタイプに変身することにより移住地の環境に適応していくダイナミックな姿を紹介する。
第1部 「放浪」と「侵略」を概観する
第1章 帰化植物はなぜ帰化植物になることができたか (森田竜義・新潟大学)
第2章 帰化植物の特異な受粉様式を観る (田中肇・花生態学者)
第2部 帰化種と在来種の比較生態学
第3章 オランダミミナグサとミミナグサ (福原晴夫・新潟大学)
第4章 コスモポリタンな寄生植物アメリカネナシカズラの繁殖戦略 (古橋勝久・元新潟大学)
第5章 オオバコとセイヨウオオバコの分布の違いと生活史特性の比較 (松尾和人・農業環境技術研究所)
第3部 撹乱の生態学
第6章 ミチタネツケバナの分布拡大戦略 (工藤洋・神戸大学)
第7章 マスコミが作り上げた怪物雑草セイタカアワダチソウの実態 (榎本敬・岡山大学)
第8章 帰化能力を進化させた球根植物タカサゴユリ (比良松道一・九州大学)
第9章 観賞用水草ミズヒマワリの驚異的増殖力 (須山知香・金沢大学)
第4部 新環境への適応のメカニズム
第10章 進化する帰化植物セイヨウタンポポ (芝池博幸・農業環境技術研究所)
第11章 逆輸入雑草アキノエノコログサ (渡邊修・信州大学)
第12章 シロツメクサのクローン成長と集団分化 (澤田均・静岡大学)
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