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著作累計100万部を突破した 小説家・喜多川泰が紡ぐ心の再生物語。 [あらすじ] 中学校の社会科教師として30年のキャリアをもつ石橋嘉人は、心が不安定な新米教師・山吹日奈の面倒をみながら、コロナ禍で大きく変化する教育現場や子どもたちの心情に憤りを感じていた。ある日、愛媛県警からの連絡で実父が亡くなったことを知る。父親とは38年前、逃げるように母親と家を飛び出してから会っていないうえに、自分の記憶からも消していた存在だった。時はちょうど「西条まつり」が行われる秋の10月。江戸時代から続く日本一のだんじり数を誇る祭りの高揚感が、唯一の父親との記憶を蘇らせた。義人は、生まれて初めて父親の実像と向き合う決心をする。それは、自分の心を癒す再生の時間でもあった。 [本文より] 自分に与えられた条件のなかで、起こることすべてを受け入れて、誰にもその苦しみを理解してもらえないままに、ひとつの旅を終えた人に対して湧いてくる言葉は、嘉人のなかではひとつしかなかった。 「よくがんばりました」 そしていつか自分も人生を終えるときに、誰かが、誰でもいい、たった一人でもいいから、自分に対してそう言ってくれたら、自分の人生は報われるんじゃないか。そう思えた。 人間の凄さっていうのは、 すべての人が、その人の人生を 懸命に生きているところにある。 春の風のようなひかり 1978 パノプティコン 2022 湊哲治 2022 離郷 1984 故郷 2022 祭りの記憶 御旅所 1982 真鍋陽子 2022 ひかりに照らされて 宮出し 2022 人の凄み 2022 御旅所 2022 同行二人 1984 あとがき
レビュー(48件)
強い父親!
人の見え方は投影図と同じで、見る角度によって影は変わる。 人からどう思われるかばかり考えるのではなく、人は迷惑をかけるし、人は助け合う。だからお互い様。 強い父親の姿が描かれている。
自分にピッタリの作品
喜多川泰さんの作品は全て読んでおり、今回も期待を胸に読み始めました。幼い子供がいるためなかなかゆっくり読書をする時間が取れないのですが、毎晩寝かしつけ後のほんのわずかな時間の楽しみになりました。物語に引き込まれてどんどん読み進めたい気持ちと、読み終わって毎晩の楽しみが無くなる寂しさで複雑でしたが、あっという間に読み終わりました。 老若男女、全ての方におすすめしたいです。本が苦手な人でも読みやすいと思います。
大変満足しています。 ありがとうございました。
世の多くの父親が感じている一面のような…
これまで喜多川泰作品が大好きですべて購入して読みました。特に「手紙屋」では大いに感銘を受けました。私がこれまで読んできた書籍の中で喜多川泰さんかさだまさしさんがピカ一だと思っています。 今回久しぶりの作品だったので予約して買いましたが、口下手で愛情表現の下手な父親の姿が多くの世の父親のどこかの側面に当てはまるのではないかと胸が痛くなりました。 読み終えた後まもなく結婚しそうな息子にも読むように勧め手渡しました。何か感じ取ってくれるとありがたいです。
もう喜多川泰さんの新刊というだけで、ぜったいに間違いない小説です。 読んでみて、何度も泣きました。 父と息子の関係は、いろいろと難しいものがあります。 私自身、父との関係では悩んできたものがありますから。 西条祭りのだんじりの話が取り上げられています。 ちょうど、TVでその話題がありました。シンクロですね。