都道府県の中で、もっとも人口が少ない鳥取県。知事の平井氏が初当選した平成19 年には、初めて人口が60万人を割るという事態が起こった。人口減少にくわえて少子高齢化という課題に対し、鳥取県は大きな危機感をもって対策に取り組んできた。地域のポテンシャルを引き出し、産業の活性化、観光の振興を目指す。漫画、アニメとのジョイントでクールジャパンを展開。企業誘致や移住も率先して推進する新しい地域再生を推進した。本書は具体的な事例を紹介し地方自治の在り方を考える。また、新型コロナウイルス感染での小さい県だから出来る危機管理も徹底紹介する。
レビュー(5件)
本書の御蔭で、「知らない地域」の様子、何処にでも在る「今日の様々な課題」と向き合う地域行政の仕事、そしてそれを見詰めて仕事に勤しむ著者という人物を知ることが出来た。少し夢中になり、休日に時間を設けて、一気に読了に至ってしまった。 昨今の“感染症”の問題を巡る対応に関する話題にやや大きめな紙幅が割かれているが、そこに留まらない。災害復旧や文化発信や教育の取組み等、今日的課題に関する様々な話題が展開している。が、一貫しているのは「現場を見詰めて、率直に“出来る?”とか“出来そう?”を見出す」ということかもしれない。更に、“感染症”の問題で何やら世の中がガタガタしてはいるものの、それを所謂「パラダイムシフト」とでも捉え、「何か新しい動きが産まれるかもしれない時代変化」という程度に認識して未来を見詰めようかというような考え方も示唆されていたと思う。 著者は「鳥取県にスタバはないが、スナバなら在る」と発言して話題になったということが在った。「スナバ」というのは「砂場」で、鳥取砂丘を示唆している訳だ…その件にも本書では言及が在る。スタバこと<スターバックスコーヒー>の店舗が47都道府県で最後の出店となった鳥取県であったそうだが、この発言が契機となって、地元で<スナバ珈琲>という店が起こったという笑い話のようなことも在った。 この「〇〇はないが、△△なら在る」という程度に考えるということが、地方では存外に大切なのかもしれない。方々の都道府県で視られる有名チェーンの店が無くても、他所には無い著名な大砂丘なら在って、それは他の何処にも無いじゃないかと言い放ってみている訳だ。 こういうのは「現場を見詰めて、率直に“出来る?”とか“出来そう?”を見出す」というような、一貫した姿勢が導き出す言なのであろう。或いは「出来ない(=無い)を挙げるのではなく出来る(=在る)を見詰めよう」ということになるのかもしれない。そしてこういうのは、“鳥取県”に限ったことでもないのかもしれない。 好い一冊に出遭った。広く御薦めしたい。
新型コロナの手詰まりを打破
凄いの一言。地方の現場で人も少ない、お金もない中で、独自の鳥取方式で新型コロナに挑む舞台裏や秘訣が分かる。即検査、即入院、即治療は全国の対策を遥かに超える挑戦で、病床と検査能力を増やして実現できている。これをやらない大都市なども見習ったらどうか。全編にわたって、軽快なドキュメンタリータッチで楽しめた。鳥取中部地震や副業対策など、住民・現場重視で小さい自治体であることを逆に力にしている。