世界同時かなしい日に雨傘が舗道の上をころがる制度のような驟雨
2023年に亡くなった山下一路の作品を有志がまとめ、第二歌集『スーパーアメフラシ』(2017年)以降に発表された歌を中心に編まれた遺歌集。
「山下短歌は、人々が日常生活を最優先する中で「考えなくなっている事柄」を寓意的にではありますが伝えようとしています。文体こそ軽みを持っていますが、本人はちっともは面白がらず、溜飲も下げず、深く悲しんでいるようです。それは絶望と紙一重だったかもしれません」(編者あとがきより)
【栞】
伊舎堂仁「二周目の前に」
坪内稔典「はははぽちゃぽちゃ」
【収録歌より】
この星に投身をする少女のように海底へ降りてゆくレジ袋(題詠:塵も積もれば)
水銀の海に溺れてユニクロの試着室から出られぬアリス
これは食べ物ではありません口から溢れだす倫理です
ないよりはだいぶいい虫コナーズ ぶらさげているヒロシマの鐘
ふらふらと母飛んできて蛍光す説明ばかりの映画みたいに
【目次】
1 世界同時かなしい日に
世界同時かなしい日に
浜辺 で、蛸になる(抄)
プラスチックの米櫃のなかで(抄)
2 世界同時晴れた日に
昭和レジデンス
ぷぷプリン体
そんなところがキライ
ぬらりひょんと一緒
ロング・グッドバイ
太陽政策
緘黙教団 We selected a mass suicide
エリー・マイラブ
2040年
ビーマイベイビー
あらかわ遊園
この国は賛同しません
3 新しい戦争がはじまる
新しい戦争がはじまる
エビデンスがほしいんだよ
スワンボート水没ちゅう
もうすぐですね
きょうも新聞はお休みです
カンナとゴジラ
ローカルな話しで恐縮ですが
世界同時晴れた日に
4 ジンタカタッタカタン
ジンタカタッタカタン
魚の目に花粉症
レーゾン・レプリカ
コロナの星でおぼれる
あるある公園で
エレーンは元気ですか
武勇でんででんでんでん
東京天使病院
お取り寄せの世界
5 舟を出す日に…
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