看護職は、テクノロジー(体温計や診断器や注射器や体重計、そして、人工呼吸器、吸引機、心電図モニターなど)を医師の手から譲り受け、それを使いこなすことで身体化し、目に見える働きを他にアピール(Devices=策略であると同時に、認めてもらいたいというDesires=願望でもある)してきた。しかし、それは一方で、ケアリングの本質である、病む人に寄り添い、語り合い、心身を癒やすという側面を背景に追いやるようなリスクを招いてしまった。こうして医師たちは、右のようなテクノロジーを身体化した看護師を、逆説的にもテクノロジーの一部と同一視してしまった。つまり、看護職は、テクノロジーを取り込んで地位を高めようと策略するが、同時に、取り込んだつもりが取り込まれてしまい、自己のアイデンティティを見失いかねない罠にはまりこんでしまう。「策略と願望」は、看護職集団の歴史にも見える、と著者のマーガレット・サンデロウスキーは浩瀚な看護とテクノロジーの歴史的資料を駆使して述べている。本書は、21世紀の今日、看護職の依って立つべき基盤は何について鋭く深い示唆を提出している傑作である。
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