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銀座鮨店に10年通ったバブル期OL物語 80年代。都内で働いていた青子は、25歳で会社を辞め、栃木の実家へ帰る決意をする。その日、彼女は送別会をかね、上司に連れられて銀座の高級鮨店のカウンターに座っていた。彼女は、そのお店で衝撃を受ける。そこでは、職人が握った鮨を掌から貰い受けて食べるのだ。青子は、その味にのめり込み、決して安くはないお店に自分が稼いだお金で通い続けたい、 と一念発起。東京に残ることに決めた。 お店の職人・一ノ瀬への秘めた思いも抱きながら、転職先を不動産会社に決めた青子だったが、到来したバブルの時代の波に翻弄されていく。
レビュー(100件)
のめり込んで読めました。昭和、平成の昔の時代にタイムスリップした感覚で読めていい空間を味わえた作品 なかなかオススメ
カウンター
勤めていた会社を辞め、栃木の実家に帰ることになった青子が、上司に連れられて銀座の一流鮨店へ。その味に惹かれ、不動産会社に転職して通い始める。青子と鮨職人の、口に出さない心の通い合いを、ネタを表題にした連作短編形式で綴っていく。一流店の鮨と同様に味わい深く、よくできた小説。直木賞の候補くらいになってもおかしくない出来だが、1981年生まれの柚木氏が、バブル期のOLを書くと、どうしてもバブル崩壊を予測しているように捉えられ、後付けの理屈になってしまうだけ損だろう。まさに洒落た逸品なのだが、巻末の「解説」はオソマツ。もっとも、寿司にも回る店があるから、プロとアマチュアの文章の違いと受け取れば、それなりに勉強になるか。