トンボ、メダカ、ドジョウ、サクラソウ、アサザ、フジバカマなど、この数年、急速に姿を消しつつある、身近な生き物たちや草花。大量生産・大量消費・大量廃棄という、現代社会の危うさと空しさ。こうした生物多様性の急激な喪失は、生態系の健全さを失わせ、限界をわきまえない地球環境の過剰利用は、地球そのものを破壊する。非平衡、不安定、不確実という、生態学の提示する自然観は、生態系の複雑さと繊細さに、順応的に向き合うことを求める。霞ヶ浦の豊かな水辺の再生を試みる保全生態学の第一人者が、生態系を意識する社会の必要性とそのための方途を強く訴えかける、提言の書。
レビュー(6件)
日本人による自然再生のバイブルか?
鷲谷先生の取り組みが,一段落した中間のまとめのような感じがする。どこかのレビューで「鷲谷さんはいつもアサザプロジェクトの話ばかり」と言う意見を読んだことがあるが,この本には,他の事例について結構書かれている。 まだ,日本で自然再生という名前で活動がなされていないときに,すでにそれなりのところまで進めておられたのは,この本ではじめて知った。鷲谷さんと言えば生物多様性だが,生物多様性に対しての確固たる信念が貫かれており,爽快でもある。これを読んで生物多様性についての理解がずいぶんと深まったように感じる。もっときちんとした専門書を読みたくなった。