駅と旅
: 砂村 かいり/朝倉 宏景/君嶋 彼方/松崎 有理/額賀 澪/鳥山 まこと
まだ見ぬ物語への切符が、ここにあります。
6人の作家、6つの駅が旅の非日常へ誘う
文庫オリジナル・アンソロジー
旅の始まりと終わりを見届けてくれて、行く場所であり帰る場所ともなる“駅” という場所は、いつも変わらずそこで私たちを待ってくれています。浜松、西宮、札幌、唐津、明洞、ポルトーー六つの都市へ向かう列車を待つそれぞれの駅で、あるいは辿り着いた目的地で、どのような景色が見えるでしょうか。新しい物語への切符は今、あなたの手のなかにあります。六人の作家、六つの駅が旅の非日常へと誘う、文庫オリジナル・アンソロジー。
■収録作品
【浜松】…砂村かいり「きみは湖」
毎年同じ日に同じ場所で購入された切符。いなくなった恋人が集めていたそれを頼りに、わたしは「湖に浮かぶ駅」に降り立つ
【西宮】…朝倉宏景 「そこに、私はいなかった。」
高3の夏、真央の応援にたどり着けなかった「私」。彼の一軍初登板の今日、再び西に向かう
【札幌】…君嶋彼方 「雪花の下」
突然、子供を連れて実家に帰ってしまった夫と。夫の兄。翠と義姉は、それぞれの夫を追ってふたり北海道へ
【唐津】…松崎有理 「東京駅、残すべし」
秋晴れの日に現れた巨大なもののけに対して、立ち上がったのは「駅」だった!? 旅する駅のキュートな物語
【明洞】…額賀澪 「明洞発3時20分、僕は君に撃たれる」
不倫報道から一年後、ソウルの街で再会した二人と、その跡を追う週刊誌記者。これは果たして逃避行なのだろうかーー
【ポルト】…鳥山まこと「辿る街の青い模様」
青いタイルに導かれた地で、私は祖父母を、両親と妹を、そして隣で歩く妻を想う
レビュー(4件)
松崎有理の新刊と同時リリースされたこちらのアンソロジーにも1作、書き下ろしが入っていたので。 全体を通して捨て作なしとの印象。CDのアルバムのように作品の収録順も含めて秀逸なアンソロジーとなっていると思うので最初から順に読むことがおススメ。 個人的に一番面白いと感じたのは砂村かいりの作。ストーリー展開もよいし、自分も非日常を旅しているという没入感がある。 もし砂村かいりを単行本で読むようなファンがいて、この作を読まずにおくならばもったいないのではないかと思う。(『紙魚の手帖』収録作とのこと) 松崎有理はこのアンソロジーのリアリズムな流れから一人だけ漫画的にぶっ飛んでいて、アカデミックな学びをややクドさを感じるほど混ぜ込んでくるところ、まさに全開やりたい放題。 鳥山まことの作は逆に純文学に振っている。生と死を自分ごととして省察する静謐で重みのある作品。何かを探すために旅に出かけ、何かは見つけられなかったもの確かに掴んだものがあった。