筆者は、この30年間、人間活動で改変されたアマゾン熱帯林の微気候を観測してきた。奥地に行くと電気はないが、都市部にいる間はテレビが見られる。国民的司会者のアナ・マリア・ブラガさんが、10月になると、「ようやくプリマベイラが来ました、花が咲いて、暖かくなりました」と喜んでいるのを何回か見たことがある。亜熱帯なのに、サンパウロは標高が高いからであろうか。アマゾンなら、暑い、じめじめしているという動物的な感覚だけである。日本でも時候の挨拶は日常的で、天気予報もそれから始まる。所属の総合科学部は文理融合を標榜しているが、入試のときから、文系と理系で受験科目が異なり、名前と実態が合わない。それでも、文系の人が理系の授業を受けて苦しんでいる。ただ、文系・理系に関係なく、定量的な見方を学ぶべきではないかと思いながら、この20年、学生実験で水蒸気パラメータの計算を教えてきた。NHKで天気予報をしている南利幸さん、天才アナの森下絵理香さん、おはよんの中西希さん、もう引退したKVOA-Tucsonのマイケル・グッドリッチさんなど、気象予報士は皆さん勉強してきた。実は、蒸発・凝結などの水の相変化は高校1年生の数学で十分できる。ただ、地学の先生がいなくて、パソコンでデータを使った解析実習をする機会がなかっただけである。ということで、この際、暑い・寒い、乾いている・湿っているではなく、現在、この1㎥の大気にXXXグラムの水蒸気があるという表現方法を覚えよう。同時に、本書では、気象要素を計測する機材について紹介する。決して全部はできない。衛星で面的に計測する方法は筆者はわからない。高層気象や予報についてもわからない。身の回りの生活圏、つまり、生物圏の気候学である。肌で感じる日常の気候を物理的にヘコニェッセール(再認識)しよう。きっと景色が変わるはずである。また、地表のさまざまな土地利用の気候、農地・林地の気候も紹介する。
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