◆天理図書館では、上田秋成自筆稿本『春雨物語』を新たに収蔵。秋成は文化6年(1809)6月27日、76歳で門人の荷田(羽倉)信美家にて没した。この稿本は、その羽倉家に代々伝わった秋成関係資料のうちの一つで、本文6篇より成る。巻頭に「序」を掲げ、巻尾に亡くなる1ヶ月前の、文化6年5月の年記を有する奥書がある。これまで未知の自筆稿本であり、『春雨物語』における本文の改稿や推敲過程を考える上で重要資料となる。
◆併せて、影印未刊行であった天理冊子本(全57丁)および本文完備の西荘本を収録し(モノクロ網目版)、解題と羽倉本翻刻を付す。
【解題】
大橋正叔(天理大学名誉教授)
【羽倉本翻刻】
牛見正和(元天理図書館司書)
大西光幸(元天理図書館司書)
大橋正叔
【上田秋成とは】江戸時代中後期の文人、享保19年(1734)-文化6年(1809)。大阪で生まれ、商家の養子として育つ。長じて、蕪村・几董などの俳人や木村蒹葭堂・大田南畝などの文人と交遊を深め、代表作『雨月物語』『春雨物語』の執筆のみならず、国学・和歌など幅広い分野で活躍した。
【春雨物語とは】10編を収める短編小説集。文化5年(1808)に成稿を見たが、以後も死に至るまで改稿を重ねた。著者晩年の歴史観・文学観・宗教観等々、秋成世界の全てが凝縮された傑作。刊本ではなく写本により伝えられ、その本文校訂は今なお学界の大きな研究課題となっている。
春雨物語 羽倉本
血かたひら 天津處女 歌のほまれ
海賊 死首の咲顔 宮木か冢
春雨物語 天理冊子本
血かたひら 天津處女 海賊 妖尼公
目ひとつの神 二世の縁 樊噲
楠公雨夜かたり 捨石丸 宮木か冢
春雨物語 西荘本
血かたひら 天津をとめ 海賊
二世の縁 目ひとつの神 死首のゑかほ
捨石丸 宮木か塚 歌のほまれ 樊噲
『春雨物語羽倉本・天理冊子本・西荘本』解題
『春雨物語羽倉本』翻刻
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