観念(idea)は17世紀において精神がいかにして外的世界と接触するかという問題の中で論じられた。デカルトを経てスピノザに継承される観念説(theory of ideas)は,哲学史の中でも空白地帯とされ難解で知られる。本書は観念の多様な側面に注目しながら,スピノザ独自の構想として,従来の認識論的な枠組みを超えた「観念の実在論」を提唱する。
まえがき
凡 例
序 論
第一節 「イデア/観念」の歴史的変遷
第二節 観念説と観念論ーー「近世」という時代の特殊性
第三節 スピノザの観念説という空白地帯
第四節 本書の主題と構成
第一部 「観念(idea)」概念史の中のスピノザーーポスト・デカルトの観念説
第一章 デカルトにおける観念の対象的事象性
第一節 『省察』本文における観念の二面性
第二節 第三省察における観念の対象的事象性の役割
第三節 観念の対象的事象性と表象像
小 括
第二章 デカルトにおける観念の形相的事象性
第一節 「形相(あるいは形相的)」の多義性
第二節 第三省察における観念の形相的事象性ーー神の存在証明の厳密性との関わり
第三節 観念の二つの事象性と因果性の問題
小 括 『省察』の慎重な観念説
第三章 デカルト以後の展開ーー近世的「観念」概念の成立におけるスピノザの特異性
第一節 アルノー(1612-1694)およびマルブランシュ(1638-1715)
第二節 ロック(1632-1704)
小 括
第三節 スピノザの観念説の特異性
第二部 観念の存在ーー観念の二面性の継承から平行論の成立へ
第四章 スピノザにおける観念の二面性
第一節 「観念の形相的有」の導入
第二節 「観念ないし対象的有」の導入
第三節 『エチカ』の認識論的地平
小 括
第五章 平行論と観念説
第一節 平行論の諸相
第二節 『デカルトの哲学原理』から『知性改善論』へ
第三節 『短論文』の創造論における神の知性の役割
小 括
第六章 事物としての観念ーー観念の〈能動性〉と〈事物性〉
第一節 観念の能動性ーーデラ・ロッカの解釈
第二節 「観念=能動(作用)」説の反デカルト性?
第三節 観念の〈能動性〉と〈事物性〉
第四節 観念の〈事物性〉の射程
第三部 観念と人間ーー神における平行論から人間の認識へ
第七章 「存在しない個物の観念」とは何かーー『エチカ』第二部定理八再考
第一節 「形相的本質」は何を意味するか
第二節 個物が「存在しない」とは何を意味するか
第三節 「存在しない個物の観念」は偽なる観念か
第四節 対象的有と観念の条件付きの互換性
小 括
第八章 『エチカ』における虚偽の観念と方法論の問題
第一節 議論の前提ーー人間精神と観念との関係
第二節 楽観的認識論?
第三節 虚偽の契機ーー「表象」の導入
第四節 虚偽の解体と方法論の不在
第五節 スピノザの方法論
結 論
初出一覧
あとがき
英文要約
索引(人名/事項/『エチカ』出典箇所)
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