前作「西洋との遭遇 幕末・維新アナザーヒストリー」は副題を「ルボン山から西洋が見える」とした。我が終の棲家の史跡「ルボン山」を執筆のきっかけにしたものであったが、何故に、下志津原の原野にフランス人のルボンが来ることになったのか、何故にイギリス人やアメリカ人でなくフランス人だったのか、この疑問を解くうちに、幕府がフランスと蜜月外交を繰り広げた歴史に遡ることとなり、前作の執筆に至った。もともと、江戸時代にこの地を支配した佐倉藩がこの原野に町打場(ちょううちば、大砲演習場)を開設し、これが明治陸軍の目に留まり、ルボンが明治陸軍の要請によって近代的な大砲演習場に造り変え、その時に「ルボン山」を築いたという歴史がある。本作は、単に「ルボン山」に焦点を当てるだけではなく、それに遡る佐倉藩の町打場と砲術、軍制改革、海防やさまざまな軍役、さらには激動の佐倉藩の幕末・維新を詳細に伝えるとともに、開国者の佐倉藩主堀田正睦の功績に触れることができた。そして、明治以後、大砲演習場が砲兵教育と技術研究の拠点となり、全国から精鋭が集まる陸軍演習の場となって、‶軍郷四街道″が誕生する歴史の真相に迫った。その意味で、前作を「ルボン山」開国史編とすれば、本作は「ルボン山」郷土史編ということになる。
ところで、「ルボン山」は、この町の貴重で数少ない史蹟のひとつであるにもかかわらず、これまで、ほとんど調査も研究もされてこなかった。むしろ、誤った歴史認識が伝えられ、ネットにも拡散している状態を懸念していた。このたび、少しでも郷土の歴史が正しく伝えられることを願って、本書を著した次第である。
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