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子どもたちの遊び場が次々に消失し、体を使って外で遊ぶ子どもの姿を見なくなった。自殺する子どもも、後を絶たない。子どもは本来「自然」に近い存在だと論じる解剖学者が、都市化が進んだ現代の子どもを心配に思い、四人の識者と真摯に語り合う。 医療少年院で非行少年の認知能力の低さに愕然とし、子どもの認知能力の向上に努めてきた宮口幸治氏。インターネットで「正しい育児法」を追いかける親を心配する、慶應義塾大学病院の小児科医、高橋孝雄氏。国産初の超電導MRIを開発し、子どもの脳の大規模研究を行なってきた小泉英明氏。生徒が自分で野菜を育て、机や椅子も作る学校、自由学園の高橋和也氏。子どもと本気で向き合ってきた経験から紡ぎ出される教育論。 ●「『ああ、そうだったの。でもあなたにも問題があるんじゃないの?』みたいなことを言ったら、一発アウトです。子どもは自分の話を否定されたことで、大人が思っている以上に傷つきます」(宮口幸治) ●「私はかねてより、『親は自分の願望を子に託すな』と訴えています。『こういう教育をしてやれば、自分にはできなかったこんな夢が実現するのではないか』というような気持ちが強すぎる」(高橋孝雄) ●「幸せのポイントは『共感』能力、言い換えれば『温かい心』(Warm-heartedness)を育むことにある、それこそ子どもたちが幸せになるための教育の最終目標であると考えています」(小泉英明) ●「結果が自分に返ってくることばかり求めていると、自分の利益になることだけをしようという発想になります。自分を超える価値や理想に触れていくことが、未来の社会をつくる生徒たちが育つうえで大切だと、私は思っています」(高橋和也) ●「何もかも手に入るわけではないけれども、生きているだけで満足できる。そんな状況を、生まれてくる子どもたちに対してつくってあげないといけないでしょう。何も難しいことではありません。親が子どもに対して『あなたたちが元気に飛び跳ねていてくれればいい』とさえ、願えばよいのです」(養老孟司)
レビュー(55件)
様々な視点から現在の子供の置かれている問題点を知ることができてとても勉強になりました。養老さんならではの辛口部分には一部共感しがたいところもありましたが笑。自分で考えて、自分で道を切り開く。親があれやこれやと手を出すことがその子の足をかえってひっぱることになってしまう。自分の子育てのあり方をもう一度見つめなおすいい機会になりました。
今、そしてこれからの時代を生きる孫のことを考えて購入しました。 以下、印象に残った言葉など ・親は安心安全の土台 ・ネットは良い面もあるが弊害もある。「実体験の減少」は特に危惧すべき。本気度の高い実体験が生む良い効果。 ・どんな家庭に生まれようとも、さらに言えば子どもであれ大人であれ、結局は「相手には相手の事情がある」と慮れる力が、自分自身を幸せにするのだと思う ・子育てとか教育というのは、手間暇かかるものなんです。 等など。多くの含蓄のある言葉がちりばめられた良書でした。
読みやすいです
早速読み始めていますが、とても興味深くわかりやすい文章で、するすると読めてしまいます。 子どもと関わる仕事を目指しているので、勉強になります
子どもってやっぱりすごいんだよ。 一回読んで考えてみてください。
小・中・高校生の親ごさん達にスペシャリストの話を聞いてほしい。 子どもたちが今幸せに楽しく暮らせる為にどうしたらいいのかが分かります。 自分で考える理想的な自由学園のような学校を、目指そう。