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本書の主軸をなすのは、西洋のラテン・アルファベットを基にして作られた「近代」の象徴としてのタイプライターと、中国語との間にある距離感である。その隔たりゆえに中国語そのものに「問題」があるとみなされ、それを克服するための「パズル」が形作られることになる。常に西洋の「本物」のタイプライターを意識しつつ、この「パズル」を解こうとしていく人々の群像を描いていくなかで、漢字についての発想の転換や戦時中の日中関係、入力や予測変換といった現在につながる技術の起源に至るまで、さまざまな話題が展開されている。タイプライターというモノを起点としつつ、それの単なる発明史をはるかに超える射程を持った本であり、関心や専門を問わず広く読まれるべき一冊である。 目 次 謝 辞 序 論 そこにアルファベットはない 第1章 近代との不適合 第2章 中国語のパズル化 第3章 ラディカル・マシン 第4章 キーのないタイプライターをどう呼ぶか? 第5章 漢字圏の支配 第6章 QWERTYは死せり! QWERTY万歳! 第7章 タイピングの反乱 結 論 中国語コンピューターの歴史と入力の時代へ 訳者解説 注 索引
レビュー(6件)
貴重なドキュメンタリー
とても面白かった。和文タイプに触ったことがある程度でしたが、考えてみれば、誰がどのような経緯で作ったかということについては全く知りませんでした。タイプライターという文化=アルファベットの文化と考えると、本来無理な挑戦であることは解っていながら、それに果敢に挑んだ先人たちはとても魅力的に見えました。