本書の書名『ブリューゲルの“劇場”-罪、祝祭、諺』には、画家ブリューゲルが人間のさまざまな罪深い営みを“舞台上で演じる役者の名演技”のように描いている、というメッセージを込めた。また人間は祝祭を歓迎するものの、それに没頭する行為には欲望が潜んでいる、というメッセージもある。さらにブリューゲルはそうした人間模様に同時代のポピュラーな諺を織り込み、ヴィジュアル効果を使って諺の道徳教訓性を伝えている、というメッセージもある。(本書「あとがき」より引用)
約300点にのぼるフルカラーの図版とともに綴られた、ブリューゲル研究に心血を注ぐ著者、渾身の研究成果。
第1部 ブリューゲルの作品論
第一章 再発見されたブリューゲルの《聖マルティン祭のワイン》-来歴と図像解釈
第二章 ブリューゲルの二つの《バベルの塔》の表象性 -中世から近世にかけて
第三章 ブリューゲルの《節制》の図像解釈
第2部 諺図像学の提唱
第四章 ブリューゲルの《ネーデルラントの諺》と古い日本の諺画像
第五章 十六、十七世紀ネーデルラントの「青いマント」の諺図像
第六章 笑いの図像表現に“読む”諺 -十六、十七世紀のフランドル、オランダ絵画を中心として
第七章 近年のブリューゲル研究の成果・課題・提言 -《悪女フリート》他
第3部 ブリューゲルの周辺の世界
第八章 ウリッセ・アルドロヴァンディ『全偶蹄四足獣誌』の博物誌的・美術史的な意味
第九章 リヒテンシュタイン侯家コレクションの二人の偉大な樹立者 -カール・オイゼビウス侯とヨハン・アダム・アンドレアス一世侯
コラム ロココ様式の金の馬車 -リヒテンシュタイン侯家コレクションの絶品
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