「コケちゃいました」。ご記憶されている読者の方も多いとことと思うが、バルセロナオリンピック(1992年)のマラソン競技(8位入賞)で、元東京電力の陸上部監督を務めていた谷口浩美氏がレース後のインタビューで語った言葉である。マラソンを知る人であれば誰もが耳にしたこの言葉は、当時の流行語にもなった。実は、「コケちゃいました」の給水地点には「バイオ茶」が置いてあったのだ。この事実は、私どもの新工場落成式の際、谷口氏にご挨拶をいただいたときにエピソードとして話してもらったことである。
それでは、水出しでも利用できる「バイオ茶」とはいったい何であろうか。また、そのお茶はどのようにして作られたのだろうか。本書は、そのバイオ茶を作り出した「宮崎 上水園」の苦難の歴史とともに、農業に対する「こだわり」を綴ったものである。
全国を襲った晩霜被害をスプリンクラーの設置という方法で乗り越え、「水」「植物」「自然」について飽くなき勉強を続けた結果生まれた「魔法のお茶」であるが、それまでにはさまざまな出会いがあった。静岡県での修行に始まった著者の農業に対する探求心は、その行動力も手伝って多くの人々を引き寄せることになった。特に、物理学者である原隆一先生との出会いによって得られた知識が「植物のバイオリズム」や「水」にこだわることになり、独自の自然栽培・製茶技術を生み出し、本来茶葉がもつ有効成分を引き出すことになったわけである。「農業哲学」とも言える著者の茶作りの姿勢は、愛飲するアスリート達だけでなく多くの農業従事者をも感動の世界に誘ってくれる。
(文責=本書編集担当)
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