「フォーカシング」における,クライエントの中に起こっている小さな変化の質に注目し,そこに互いにやさしくていねいに寄り添う相互作用のあり方は,ジェンドリンの哲学者としての深い人間洞察から生まれた。しかし「フォーカシング」の心理療法と自己理解の技法的側面に比べて,その哲学的・理論的な基盤に光が当てられることは少なかった。
本書はわが国へのフォーカシング導入の歴史的一歩とも言うべき「人格変化の一理論」をはじめ,これまで難解とされ,なかなか目にすることができなかったジェンドリンの哲学者・思想家としての姿を描き出す貴重な著作が収録されている。そしてそれらの原著に対して,心理療法家としてのジェンドリンの姿を浮きぼりにしながら,本来の治療者としての人間理解に向けての新たな転換を迫る意欲的な池見の論考を対置させることによって,その全貌をよりわかりやすく親しみやすい形で紹介した。
こうした本書は,技法の背景に埋もがちであったフォーカシングの理論的背景に光を当てた貴重な文献であり,治療者ジェンドリンの「人間論」そのものでもある。
第1章 フォーカシングーー関係がこころを開くとき
1.小さな一歩
2.こころの響
3.フォーカシングの瞬間ーーこころの実感から生まれるメッセージ
4.セラピストの存在
5.からだの実感ーーフェルトセンスーー
6.変化の瞬間ーーフェルトシフトーー
7.布置としての生
8.本書の特徴
第2章 セラピーのプロセスの小さな一歩
セラピープロセスの小さな一歩
本論を読むにあたって
1.人間がそこにいる
2.基盤としてのリフレクション
3.人間の本性ーーフォルム対一歩の秩序ーー
4.二つのセラピー・セグメントへのコメント
人間がそこにいる
1.人間がそこにいる
2.体験的一歩の秩序を生み出す人間の本性
3.セラピーに見られる体験的一歩
第3章 体験と実存
体験過程療法
1.体験過程療法の定義
2.体験過程療法の歴史
3.体験過程療法のはじまり
4.体験過程療法の理論
5.パーソナリティ
6.心理療法
7.応用
8.事例
9.要約
体験と実存ーー実存主義哲学と心理療法ーー
1.実存主義哲学と心理療法
2.意識の特性に関する現象学的記述
3.生のプロセスと人格ーー人格理論は成り立つのかーー
4.心理療法論
5.体験過程の発想を応用する
6.実存主義を生きる
第4章 生きる過程としての人格
人格変化の一理論
1.問題と観察事実
2.理論
生きる過程としての人格ーージェンドリンの人格理論ーー
1.「幻の名作」
2.「パースナリティ変化」という視点からみた「パースナリティ」
2.フィーリング・プロセス
3.個人的な人間関係
4.相互作用としての「パースナリティ」
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