グローバリゼーションと地球環境保護の考え方によって、それぞれ資源としての価値を見出された、熱帯アジアの豊かな森林は、かつてのように住民だけのものではなくなった。本書では、そのような状況で、従来、自然との共生を謳われ、また外界と隔絶し独自の文化を形成しているとされてきた「森の民」の、真の姿を捉えるとともに、その変容と、将来の展望を描く。インド、中国、マレーシアを含む熱帯アジアは、日本にとって材木輸入などで関連が深く、重要な地域である。
序論 森の民へのまなざしと実像ーー 環境、開発、先住民運動 谷和信
第一部 森の民の捉え方
森と川の民の交流考古学 --先史狩猟採集社会と農耕社会との相互関係 小川英文/現代の狩猟採集民 --政治生態学の視点から 口蔵幸雄/交易と分配 --狩猟採集民の社会人類学 シラ・ダロス/永田脩一
第二部 変わりつつある森の民
変貌する森林と野鶏 --中国雲南省・ラオスの少数民族 秋道智彌/焼畑から常畑へーータイ北部の山地民 増野高司/カースト社会の「森の民」--マガール人の森林利用と鍛冶師カーストとの関係 南 真木
第三部 森の民のかかえる新たな問題
森を再利用する人びと --オラン・アスリ社会のドリアン収穫をめぐって 信田敏宏/自然保護区のなかで暮らす人びとーー南インドのカダール社会 カンマニ・カンダスワミィ/サラワクの森林伐採と先住民プナンの現在 金沢謙太郎
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