固体物理学は、その学問自体として発展するとともに、現代のエレクトロニクスや素材産業などの工学分野の研究の基礎となっている。他方、固体物理学はトランジスターの発見をきっかけに隆盛し、また大規模集積回路に用いられるMOS反転層を舞台に量子ホール効果が観測されるなど、工学と固体物理学は相互に密接に影響を与えながら発展してきた。
著者は東京大学物性研究所で理学としての固体物理学を研究し、その後同大学工学部で工学としての固体物理学を研究・教育してきた。この経験を活かし、理学と工学の接点に立って、固体物理学の基礎教科書としてまとめたものが本書である。
姉妹書の『基礎演習シリーズ 固体物理学』(ISBN 978-4-7853-8104-2)との併用により、一層の理解の助けとなろう。
1.物質の存在形態
基礎事項
1.1 結晶
1.2 アモルファス
1.3 準結晶
1.4 典型的な結晶構造
1.5 結合力
例題/演習問題/問題解答
2.物質の構造解析
基礎事項
2.1 X線回折
2.2 結晶面の指数
2.3 ブラッグの回折条件
2.4 ラウエの回折条件
2.5 逆格子空間
2.6 第一ブリルアンゾーン
2.7 ブロッホの定理
例題/演習問題/問題解答
3.格子波ーフォノン
基礎事項
3.1 格子波の分類
3.2 フォノン
3.3 格子波の関与する現象
(格子比熱,デバイーワラー因子,フォノンポラリトン)
例題/演習問題/問題解答
4.ブロッホ電子ーエネルギーバンド
基礎事項
4.1 自由電子モデル
4.2 ブロッホ関数
4.3 ボルンーフォン・カルマンの周期的境界条件
4.4 空格子のバンド構造
4.5 OPW(直行平面波法)
4.6 金属と絶縁体
4.7 モット絶縁体
例題/演習問題/問題解答
5.金属と半導体
基礎事項
5.1 金属の電子比熱
5.2 結晶の比熱
5.3 半導体
5.4 正孔
5.5 ドナーとアクセプター
5.6 金属の電気伝導度
5.7 半導体の電気伝導度とホール係数
5.8 半導体デバイス
例題/演習問題/問題解答
6.光学的性質
基礎事項
6.1 光学定数
6.2 誘電関数
6.3 クラマースークローニヒの関係式
6.4 振動子強度の総和則
6.5 バンド間遷移
6.6 エクシトン
6.7 プラズモン
例題/演習問題/問題解答
7.超伝導
基礎事項
7.1 超伝導4つの実験事実
7.2 二電子間引力ポテンシャル
7.3 正常金属の不安定性
7.4 エネルギーギャップの形成
7.5 同位体元素効果
7.6 マイスナー効果
7.7 第一種・第二種超伝導体
例題/演習問題/問題解答
8.磁性
基礎事項
8.1 磁性の起源
8.2 フントの規則
8.3 スピンー軌道相互作用
8.4 多重項の記述
8.5 ヴァン・ブレックの常磁性
8.6 パウリの常磁性(金属)
8.7 ランダウの反磁性(金属)
8.8 断熱消磁による冷却
8.9 磁気共鳴
8.10 強磁性
8.11 スピン間の相互作用
例題/演習問題/問題解答
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