英国人作家と通訳の青年、北への旅は困難を極め……。 対照的な二人が織りなす文明衝突旅を開国直後の日本を舞台に描く歴史小説。 三浦半島の下級武士の子・伊東鶴吉は、維新後に通訳となる。 父が幕末に函館へ行き生死不明のため、家族を養う身だ。 20歳となり、東北から北海道へ旅する英国人作家イザベラのガイドに採用された。 彼女は誰も見たことのない景色を求めて、険しき道ばかりを行きたがるが……。 貧しい日本を知られたくない鶴吉とありのままを世界に伝えようとするイザベラ。 対照的な二人の文明衝突旅を描く歴史小説。
レビュー(13件)
読み始めてから『日本奥地紀行』(平凡社)を副読本がわりに同時に読んだ。伊藤鶴吉の生い立ちから、イザベラとの出会いが綴られ、北日本への旅へと入っていく。イザベラから見たイトー。鶴吉から見たイザベラ。この二つの視点が交錯し、奥地紀行に奥行きを与えている。一つの転機となった秋田県・米代川での出来事として描かれたが、本当に鶴吉はイザベラと決別しようとしたのか、興味深い。後日談として、妹ヘンリエッタの死とビショップ博士との結婚や、再来日して36歳になった鶴吉との再会にも触れているのも良かった。
イザベラバードの名前は以前から注目していた。関連本として初めて購読したが、読み応え十分で一気に読んだ。 他の関連本も読んでみたい。