「贈与」について考える際につねに参照され続けるマルセル・モースの『贈与論』。「贈与」「交換」「給付」について、民族学的・民族誌学的な観点から考察した『贈与論』は人類学・民族学の基本文献であるが、モースは、一方で、協同組合運動、とりわけ消費協同組合運動にコミットし、そこに精力を傾けた社会活動家でもあり、『贈与論』は西欧近代に対する社会批評を根底に据えた著作であった。本書は、モースと同時代の社会思想との影響関係を辿る第一部、『贈与論』というテクストそれ自体に孕まれた多様な論点を抽出しながらモース独自の思想を抽出する第二部からなり、最終的に外在的・内在的な読解を統合して、『贈与論』とマルセル・モースの思想を明らかにする。第一人者による類例のない待望の考察。
序
第一部 外から読む「贈与論」
第一章 社会・モース・社会主義
一 「社会的な共和国」と「社会主義」
二 「社会問題」、「社会経済」、「社会的連帯」
三 世紀転換点のマルセル・モース
四 モースと社会主義的行動
第二章 モース、ボリシェヴィズムと対峙する
一 社会主義とボリシェヴィズム
二 経済の組織化とボリシェヴィズム
三 暴力・法・ボリシェヴィズム
四 市民・民主・社会
第三章 モース、暴力にあらがう
一 モースと「暴力論」
二 ソレルと『暴力論』
三 ボリシェヴィズム・ファシズム・暴力
四 暴力にあらがい、力を支持する
第四章 「贈与論」の間テクスト的構成
一 国民と民主主義
二 国民から社会へ
三 法と社会的実践
四 〈政治〉と技法
第二部 内から読む「贈与論」
第五章 贈与・交換・聖物
一 「贈与論」における〈譲りえぬもの〉
二 交換と「動かない財」
三 贈与・交換・聖物
四 家産としての聖物
第六章 物の霊
一 「生地」に帰りたがる物
二 物の霊
三 類感呪術という内在論
四 物それ自体の力
第七章 「贈与論」における〈混ざりあい〉
一 全体論における〈混ざりあい〉
二 行為と規範における〈混ざりあい〉
三 物と人格との〈混ざりあい〉
四 内在論の理論的陥穽
第八章 〈混ざりあい〉の倫理へ
一 西欧近代と〈混ざりあい〉
二 関係論者モース
三 未分化性から分化へ
四 分化から未分化性へ
結
あとがき
参照文献
索引
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