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「お金儲けは悪いことですか?」 2006年6月、ニッポン放送株をめぐるインサイダー取引を行った容疑で逮捕され、のちに執行猶予つき有罪判決を受けた村上ファンドの村上世彰氏。逮捕間際に言ったその言葉が注目された。以後、表舞台から姿を消したが近年株式取引の世界に復帰。その動向が注目されている。 本書は、その村上氏の最初にして最後の著書であり、半生記であり、投資理念の解説書でもある。灘高ー東大法ー通産省を歩んだエリートがなぜ投資の世界に飛び込み、いったい何を試みたのか。ニッポン放送、阪神鉄道、東京スタイルなどへの投資において、いったい何があったのか。その投資哲学、日本企業、日本の経営者たちへの見方はどうなのか。そして今後何をしようとしているのか。 村上ファンドを率いて日本に旋風を巻き起こした著者が、その実像と思いを自ら書き上げた話題作。 (目次) はじめにーーなぜ私は投資家になったか 第1章 何のための上場か 上場のメリットとデメリット/官僚として見た上場企業の姿/コーポレート・ガバナンスの研究/ファンドの立ち上げへーーオリックス宮内義彦社長との出会い/日本初の敵対的TOBを仕掛ける/シビアな海外の投資家たち 第2章 投資家と経営者とコーポレート・ガバナンス 私は経営者に向かなかった/私の投資術ーー基本は「期待値」、IRR、リスク査定/投資家と経営者との分離/優れた経営者とは/コーポレート・ガバナンスーー投資家が経営者を監督する仕組み/累積投票制度を導入せよーー東芝の大きな過ち 第3章 東京スタイルでプロキシーファイトに挑む 東京スタイルへの投資の始まり/十五分で終わった社長との面談/激怒した伊藤雅俊イトーヨーカドー会長/決戦の株主総会/なぜ株主代表訴訟を起こしたか/長い戦いの終わり 第4章 ニッポン放送とフジテレビ フジサンケイグループのいびつな構造/ニッポン放送株式についてくる「フジテレビ株式」/グループ各社の幹部たちの思惑/本格的にニッポン放送への投資に乗り出す/生かされなかった私たちの提案/私が見たライブドア対フジテレビ/逮捕 第5章 阪神鉄道大再編計画 西武鉄道改革の夢ーー堤義明氏との対話/そして阪神鉄道へ/会社の将来を考えない役員たち/阪神タイガース上場プランーー星野仙一氏発言の衝撃/またしても夢は潰えた 第6章 IT企業への投資ーーベンチャーの経営者たち ITバブルとその崩壊/光通信とクレイフィッシュ/USEN、サイバーエージェント、GMO/楽天ーー三木谷浩史氏の積極的なM&A/ライブドアーー既得権益に猛然と挑んだ堀江貴文氏 第7章 日本の問題点ーー投資家の視点から ガバナンスの変遷ーー官主導から金融機関、そして投資家へ/日本の株式市場が陥った悪循環/投資家と企業がWin-Winの関係になるには/海外企業の事例ーーAppleとマイクロソフト
レビュー(132件)
村上氏と言えば、儲けのために日本企業、経済界の和を乱そうというイメージがあった。この著書で村上氏の投資の信念を知り、決して和を乱そうとしていたのではなく、日本企業の有り様を正そうとしていたことが分かった。バブル後日本経済は停滞している。一方、企業の内部留保は高止まりしている。村上氏の見解ではこの内部留保が投資なり、株主還元に振り向けられないこそことがイノベーションが起きない原因なのだろう。これが全てではないかもしれないが時価総額ランキングで世界の後背を喫している今、取り組むべきことではないかと思う。
村上氏のルーツ
まだ冒頭しか読んでいませんが、村上世彰という人のルーツが垣間見えた気がしました。 こんな人を目指したい。
メディア報道
当時の報道で感じた印象と村上氏の思いとの違い。おもしろさはまぁまぁです。
起業家や投資家の事情がよくわかる本です。
世間のイメージとはかけ離れた実像がわかりました。また投資の考え方にも共感しました。