本書のキーとなる問いは、いま住まいがどうして問題になったのか、ではなくて、これまで住まいがどうして問題にならなかったのか、という問いである。戦後の高度経済成長期を中心とした、主に東京の民間貸家経営をくいつぶし型経営と呼ぶが、副業的・兼業的に個人経営がなされるがゆえに、「適切な」利潤が圧迫されても、経営が継続されるという特殊性を有しているのが、くいつぶし型経営の定義である。このくいつぶし型経営が、住まいの問題に対して様々な役割を果たしたことによって、住まいの社会問題化を未然に防いだのではないか、と考えた。本書では、高度経済成長期におけるくいつぶし型経営とその意義にスポットを当てて、現在の住まいの問題についてどう考えたらいいかという問いに貢献したい。
はじめにーなぜ今、住まいが問題になったのか
1 どうして民間借家が問題なのか? -くいつぶし型経営の歴史的諸前提
2 くいつぶし型経営 -戦後日本の民間貸家経営
3 くいつぶし型経営の諸機能
4 くいつぶし型経営の変容と現在
5 まとめ
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