本書はアメリカ企業社会の歴史を追究してきた関口定一氏の遺稿集である。アメリカを代表する巨大企業GE社の厖大な史料の森に分け入り、その労働世界を幅広く描いた労作である。本書の内容は、ウェルフェア・キャピタリズムに注目しつつGE社の労使関係を論じた第1部、アメリカのホワイトカラー雇用史を論じた第2部、そして日本と比較した補論から構成される。いま巷で議論されているメンバーシップ型やジョブ型といった労働世界の原型が、はたしてアメリカに見出されるのか。いや、そもそもどのようにして生まれ、どのように変化してきたのか。日本的労使関係の今後を時に憂えた関口氏の遺言が、この著作の行間から聞こえてくる。
第1部 ウェルフェア・キャピタリズムと労働者
第1章 GE社におけるウェルフェア・キャピタリズムの展開
第2章 1920年代のGE Schenectady Worksにおけるフォアマン問題
第3章 GEスケネクタディにおける事業所評議会の形成
第4章 GEにおける従業員代表制の再編と廃棄
第5章 プレ・ニュー・ディール期GEにおける原先任権(proto-seniority)慣行
第6章 アメリカ労使関係における「ジョブ・コントロール・ユニオニズム」
第7章 20世紀アメリカの労働と福祉
第2部 ホワイトカラーの雇用史
第1章 アメリカ「ホワイトカラー」雇用史研究序説
第2章 工場徒弟制から「人事管理」へ
第3章 「現場経験」を通じた大卒エンジニア育成
第4章 アメリカ企業におけるホワイトカラーのサラリー制度
第5章 大企業形成期アメリカのホワイトカラーの内部階層構造
第6章 20世紀後半における大企業マネジメント層の性格と変容
第7章 アメリカにおけるホワイト・カラーの雇用保障
補 論
補論1 アメリカ企業における新卒採用
補論2 欧米の雇用はどこまで「ジョブ型」なのか
補論3 長期雇用慣行
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