レヴィ=ストロースが“発見”した親族の基本構造は、まさに現代数学の「群論」そのものであった。それは20世紀の構造主義が、ヨーロッパの正統の流れを、すなわち古代ギリシアにおける思弁と数学の幸福な結合を、現代に“再発見”したことを意味した。そこから見えてくるものは何か。プラトンのイデア数、ライプニッツの予定調和説、カントの認識論、ヘーゲルの解析学/歴史観、ニーチェやオルテガの遠近法主義、フッサールの現象学、さらに、中国周代の易に見る二進法、孟子における階級と関数概念など、精緻な数学的アプローチと該博な知見から生みだされた、ユニークな比較思想史的論考。
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思想
岩波ジュニア新書で論理学の初歩を解説された書籍を読み、その続きとして大人向けに書かれたこの書籍を購入しました。この著書を執筆された当時は構造主義哲学が流行っていたようですが、数学がよくわかっていない構造主義哲学者に対してご立腹されたようで数学を基にして哲学の解説をなさっています。日本の哲学関係者はほとんど文系出身者で数学の意味がわかっていないことがこの著書を読むとよくわかります。
ずっと復刊が望まれていた書籍だったようで、なんか哲学と数学を混ぜたような不思議な感じの本です。哲学が先か?数学が先か?と言われれば、間違いなく哲学が先でしょう。だからこういう書籍もありだと思うし、結構面白い。